茨城・古河市の地域包括ケアの先駆け「古河福祉の森診療所」、2027年3月末に閉院へ 30年の歴史に幕



2027年3月末の閉院が発表された古河福祉の森診療所=古河市新久田 古河市
2027年3月末の閉院が発表された古河福祉の森診療所=古河市新久田

茨城県古河市は、市が運営する古河市新久田の「古河福祉の森診療所」が2027年3月末で閉院することを発表しました。

同診療所は、国が推進するよりも早くから、医療・介護・福祉を住民と行政が連携して支える「地域包括ケアシステム」のモデルを築いてきた場所として知られています。

地域医療を支えた「福祉の森」の歩み

診療所が誕生したのは、3市町が合併する前の1996年(旧古河市時代)。常勤医で所長の赤荻栄一さん(76)を中心に、外来診療だけでなく、訪問診療や在宅での緩和ケアなど、市民参加型で地域を支える先進的な取り組みを続けてきました。

しかし、開院から約30年が経過し、周辺には民間の医療機関が増えるなど、地域の医療環境は大きく変化しました。慢性的な赤字経営や看護師不足といった課題も抱えていたといいます。

閉院に至る背景と現在の状況

今年4月中旬からは、赤荻所長の体調不良により休診が続いていました。市は後任の医師を探してきましたが、条件面などで調整がつかず、断念。「赤荻先生の存在が非常に大きく、後任を決めることができなかった」として、今回の閉院の判断に至りました。

2026年4月時点で通院していた外来患者約700人や、在宅診療を受けていた約30人の患者さんについては、すでに市医師会などの協力を得て、市内の他の医療機関への引き継ぎが完了しているとのことです。

「まいた種は芽を出している」活動は次世代へ

診療所としての役割は終えますが、赤荻さんが代表を務めるがん患者と家族の会「サルビアの会」など、診療所以外での活動は今後も継続される意向です。

赤荻さんは「私たちがまいてきた種は芽を出し始めている。今後は地域の人たちが受け継いでほしい」と、これまでの歩みと未来への期待を語っています。

長年、地域の安心を支えてきた診療所。その精神は、形を変えてこれからも古河の街に根付いていきそうです。


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