旧石器時代に焦点を当てた東京国立博物館(東京都、愛称トーハク・東博)の特別企画展「ビフォー縄文 旧石器時代発見80周年」が8月23日まで、東博の平成館企画展示室で開かれています。
群馬県みどり市の国史跡「岩宿(いわじゅく)遺跡」から発掘された石器をはじめ貴重な考古史料を紹介し、歴史ファンが見入っています。
縄文時代「以前」の存在が明らかに
2026年は、日本で「旧石器時代」が発見されてから80年の節目にあたります。1946年、桐生市在住の相澤忠洋(あいざわ・ただひろ)氏が岩宿(現・みどり市笠懸町)の崖で黒曜石の欠片を採集したことがきっかけでした。その後の発掘調査で、縄文時代以前の歴史が日本に存在していたことが明らかになり、日本考古学の歴史を大きく塗り替えることになりました。
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「ビフォー縄文 旧石器時代発見80周年」(東京国立博物館平成館企画展示室)リーフレットより(提供)
常識を覆した考古学者、相澤忠洋
行商の合間に考古学に没頭し続けた相澤忠洋氏は、1949年、ついに岩宿の赤土(関東ローム層)の中から槍先形尖頭(やりさきがたせんとう)器を発見。「火山灰が積もる赤土の地層に人が生活していたはずがない」という当時の考古学の常識を覆し、縄文時代以前に人間が生活していた事実を証明しました。その後も多くの遺跡の発見に尽力し、日本考古学の歩みを支えた人物です。
旧石器時代の希少な展示
旧石器時代だけに絞った展示は、東博では珍しい試みです。会場には相澤忠洋氏が採集した黒曜石製の槍先形尖頭器(国登録有形文化財)をはじめ、岩宿遺跡の貴重な出土石器が並んでいます。担当者は「旧石器時代の遺跡は全国で1万カ所を超える。この展示が日本の歴史に目を向けるきっかけになれば」と話しています。
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ビフォー縄文展で槍先形尖頭器に見入る来館者(東京国立博物館平成館企画展示室)
私たちの住まい選びもビフォー縄文?
会場に展示されているジオラマからは、当時の岩宿遺跡の暮らしぶりをのぞくことができます。発掘調査と研究をもとに復元されたジオラマによると、旧石器時代の人々は日当たりの良い水辺のそばに移動式のテントを立て、ナウマンゾウなどの大型動物やノウサギのような小動物を狩りながら暮らしていたと考えられています。約2万3000年前の石器が、当時の人々の息吹を今に伝えてくれます。
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現在の岩宿遺跡(B地点)2024年撮影
現代の私たちは狩猟をする必要はありませんが、「日当たりが良くて、水辺や自然の近くに住みたい」という住まい選びのこだわりも”ビフォー縄文”の時代からのルーツかもしれません。遠い祖先たちの選択が、今の私たちの感覚にも息づいていると思うと、なんだかとても興味深いですよね。
みどり市の遺跡が全国から注目を集めている今、そんなルーツを探りに、足を運んでみてはいかがでしょうか。
詳しくは専用サイトを見てみてくださいね。
東京国立博物館 | 特別企画「ビフォー縄文 旧石器時代発見80周年」
住 所 東京都台東区上野公園13-9
電 話 050・5541・8600(ハローダイヤル)
開 館 午前9時30分~午後5時(金・土曜は午後8時まで)
観覧料:一般1,000円、大学生500円、高校生以下・70歳以上は無料
休館日:月曜(ただし7月20日・8月10日は開館、7月21日は休館)
