タイ人ママが腕を振るう、1000円食べ放題の本場料理　食後はまさかの展開に！　茨城県筑西市の「オチョ・エチェ」

四半世紀ほど昔、タイにはまっていました。渡航歴は6回で、うち1回は「タイに住みたい」という理由だけで当時勤めていた会社を辞め、タイの首都バンコクにアパートを借りて1カ月滞在したこともあります。タイ語が行き交う屋台や食堂で生ぬるいビールを飲みながら現地のものを食べる時間は、心地よいものでした。

最近すっかりタイとは無縁の生活をしていましたが、とりぷれライターの小波来さんが茨城県筑西市でタイの寺院を紹介した記事を読み、当時の思い出がよみがえりました。

筑西市のタイ寺院を訪ねたら、よもやの展開に

そして、同じ筑西市内に本場のタイ料理が食べられる店があると教えてもらい行ってきました。

3軒並ぶテナントの真ん中に看板がありますが、2軒分を使って営業しています＝筑西市二木成

タイ料理「オチョ・エチェ」は、JR下館駅南口から徒歩8分ほどの所にあります。日曜の午後3時に早い夕食を兼ねて訪問すると、店のママらしきタイ人の女性が奥から出てきて、笑顔で迎えてくれました。

青いLEDライトが異国情緒を醸し出しています。午後3時の訪問でしたが先客がいました

タイ語のミュージックビデオが流れる店内は、かつて訪れたタイの食堂をほうふつさせます。聞こえてくるのはタイ語の会話。おそらく日本人は私たち家族だけです。この時点で筆者の心は一気にタイへ飛びました！

本場の味、1000円で食べ放題

席に着きカウンターに目をやると、料理が入った鍋が並んでいます。日中はビュッフェ形式で料理を提供しているそうで、値段は何と1000円！　これまで何度もタイ料理を食べにいきましたが、食べ放題は初めてです（単品メニューもあります）。

あのカウンターにタイ料理が！　ダウンライトの明かりが独特の雰囲気を出しています

この日5種類の料理が並んでいました。鶏のバジル炒め、鶏のナンプラー焼き、豚のグリーンカレー、レッドカレー、豚肉の野菜炒めーです。

最初の一皿は店の人が取り分けてくれました

ハーブや唐辛子がふんだんに盛り込まれた料理はパンチの効いたビジュアルで、食べる前から期待に胸が高まります。

刺激的な辛さがクセになる「鶏のバジル炒め」

最初にお店の人が取り分けてくれました。そして「お代わりは自由にどうぞ」ということです。皿によそってもらったタイ米を前に、「戦闘モード」に入ります。ここは迷わず全種類一気乗せにしました。一つ一つの味を楽しむのもいいけれど、さまざまなうまみがタイ米に絡み合い、口の中にエスニックな風味が広がるのが一気乗せの醍醐味だいごみです。

全種類を載せました！

新鮮なバジルと唐辛子がふんだんに入った鶏のバジル炒めは、刺激的な辛さです。ヒーヒー言いながら汗をかいて食べるのが、また快感です。途中で唐辛子の辛い部分を思いっきりかんでしまい、顔から火が噴き出すようでしたが、マイルドな味わいのグリーンカレーが口の中をクールダウンさせてくれました。緩急のついた辛さを味わうことで、早くも夏バテ気味だった筆者の体の細胞がよみがえったようです。

具材の肉は厚切りで、スパイシーな味に負けていません。しかも鶏はぶつ切りの骨付き肉です。手で骨付き肉をしゃぶりながら味わうタイ料理に、完全にノックアウトされました。

食べ終えると、「辛くなかったですか？」とママが席に来てくれました。

チャーミングな笑顔が素敵なママのキーちゃん

ママの愛称は「キーちゃん」。来日して28年になります。日本の人にもおいしいタイ料理を食べてほしいと10年ほど前に店を始めました。料理は本場の味を再現していますが、辛さはやや控えめにしているといいます。タイの大使館の職員も食べにきたことがあるそうです。

キーちゃんは、笠間市や水戸市など、茨城県内にあるタイ寺院でイベントが開かれるときは、料理を差し入れています。また、異国での暮らしに困っている同郷の人の力になりたいと、できる範囲でボランティア活動もしています。金銭的に余裕がない人にもおなかいっぱい食べてほしいと２年前から始めたビュッフェも、その一つ。キーちゃんの料理のレパートリーは100種類に及び、メニューは毎日変わるそうです。

キーちゃんが姉と慕うマリさん（右）もタイ出身。協力してタイ人たちの力になっています

まさかの歌手が登場！

キーちゃんと雑談していると、お客さんのカラオケが始まりました。そろそろ帰ると伝えると、「今からタイの歌手が来るから聴いていきませんか」とのお誘いが。この日は日曜日で時間は午後４時。せっかくなので聴いていくことにしました。

カラオケ盛り上がっています

お目当てが到着するまでの間、お客さんのカラオケは盛り上がっています。タイ語は分かりませんが、ミュージックビデオの映像から「この曲ラブソングかな」程度の察しはつきました。そしてサビのあたりで5、6人の大合唱です。皆さん大きな声を出していて気持ち良さそう。筆者も手拍子で参加させてもらいました。

タイから来た歌手。ノートに英語で書いてもらったサインは家宝にします

そしてきらびやかな衣装をまとった歌手2人が入店し、ショータイムがスタート。ノリの良いポップスに手拍子と踊りで盛り上がります。歌手に促されて筆者も1曲だけダンスに加わりました。ぎこちない動きにも関わらず、向けられたまなざしはとても温かく、心の底から楽しめました。

お客さんも最高潮の盛り上がりです！

筑西市でこんなにホットなタイ時間が味わえるとは思ってもいませんでした。しかも1000円で！　「コップンカー（ありがとう）」。

※ちなみに歌手が来るのは不定期とのことです。