茨城県境町若林の染本屋製菓は、カステラ専門の店です。創業40年ほどで、店主の染谷正樹さんが昔から変わらない製法で手作りしています。
店頭には、プレーンの「特製かすてら」、柔らかな口当たりが特徴の「ソフトかすてら」、そして「黒糖かすてら」、「抹茶かすてら」、「チョコかすてら」など6種類が並びます。いずれも120円とお手頃価格です。
その中の一つ「じょっぱいかすてら」は、塩味が効いています。試食させていただくと、塩味の後に甘さがやってきます。かめばかむほど独特の甘じょっぱさが口の中に広がり、程よい塩気がカステラの甘さを引き立てているようです。初めての味に驚きつつ、くせになる味で一気に食べてしまいました。
「じょっぱいかすてら」は6年ほど前に、「汗をかく夏に食べやすいカステラを」と染谷さんの妻が考案したそうです。以来、看板商品の一つとして店頭に並んでいます。
「ソフトかすてら」もいただきました。シフォンケーキのようなふわふわした食感と控えめな甘さで、後を引きます。
染本屋製菓では、カステラのほかにマドレーヌやパウンドケーキ、レモンケーキといった焼き菓子も販売しています。個包装されているので、アラカルトで注文してさまざまな味を楽しむことができます。
シンプルに卵と砂糖と小麦粉だけ
染谷さんは、埼玉県春日部市のカステラ製造・販売店で修業し、生まれ育った境町で40年ほど前にカステラ専門店を始めました。以来、カステラ作りに一途に向き合っています。
カステラ作りで一番難しいのが、水分の量です。少ないと固くぼそぼそした食感になり、逆に多いと柔らかくなり過ぎてしまうそうです。卵と砂糖と小麦粉だけのシンプルな素材だからこそ、味をごまかせません。
染谷さんは「同じように焼いても、うまく膨らまない日もあるし、思うような味にならない日もある。そこが難しいんだよね」と実感を込めます。
染谷さんが作る味を求めて、茨城県外から足を運ぶお客さんも多いそうです。この日、埼玉県から来たという女性は「おいしくて安いから何度も買いにきています」と笑顔を見せ、境町内の常連の男性は「昭和の味が懐かしくてよく来ます」と話していました。
染谷さんは62歳。あと10年は、この場所でカステラを作り続けたいと心に決めているそうです。
老若男女に愛される染谷さんのカステラ、ぜひ一度ご賞味ください。
所在地:茨城県猿島郡境町若林2405
電話:0280-86-7009
営業時間:午前8時半~午後6時半
定休日:日曜日
ホームページ:https://somemotoya.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/somemotoya_kasutera2405/