築70年を超える納屋をリノベーションした「SAUNA NAYA」=古河市大堤 ひと
築70年を超える納屋をリノベーションした「SAUNA NAYA」=古河市大堤

古河市の吉田茶園にサウナ「SAUNA NAYA」が新規オープン 「お茶ロウリュ」で新感覚の「ととのい」体験を!



さしま茶の魅力を伝える取り組みを、積極的に行っている茨城県古河市の吉田茶園を、以前《とりぷれ》でご紹介しました。その吉田茶園に、サウナ「SAUNA NAYA」が9月28日に新規オープンしたので、さっそく取材させて頂きました。「お茶」と「サウナ」という、あまり関連がなさそうな単語が結びつくことで、どのようなシナジー効果が出るのか、興味津々です!

戦後すぐに建てられた納屋をリノベーション

ご説明いただいたのは、施設の企画、運営を担う株式会社Kooga代表取締役の吉田浩樹さんと、サウナ事業の責任者で同社取締役の中島拡さん。吉田さんは「吉田茶園」で経営企画も担当しています。

元々サウナ好きだった2人。趣味でテントサウナを購入し、サウナライフを楽しむ中で「お茶とサウナを合わせたらどうなる?」と、お試しでイベントの際に「お茶サウナ」をやってみたところ、非常に評判が良く、手応えをつかんだそうです。1年半前から、施設として本格的にやってみようと、プロジェクトを立ち上げました。

「SAUNA NAYA」の前でのれんを手にする、吉田浩樹さんと中島拡さん(右から)=古河市大堤

「SAUNA NAYA」の前でのれんを手にする、吉田浩樹さんと中島拡さん(右から)=古河市大堤

「SAUNA NAYA」は、180年以上続く吉田茶園に1948(昭和23)年に建てられた納屋をリノベーションした建物です。長年、納屋して使われていましたが、ここ10年ほどは物置になっていたそうです。「SAUNA NAYA」の名前の由来は、ここから来ています。

「とにかく物が多くて、片付けに一番時間がかかりました」と2人は苦笑しました。片付けには友人の伝いや、インスタグラムなどでボランティアを募集するなどして、2023年夏ごろから始めたそうです。

古河の職人さんの力を結集!

建物の入り口で靴を脱ぎ、2階に上がると、男女別の更衣室が設けられていました。男性用の更衣室の天井の梁には「昭和23年6月」の文字が書かれていました。リノベーションした際、元の部材はできるだけそのまま利用したそうです。

築70年を超える納屋をリノベーションした「SAUNA NAYA」=古河市大堤

築70年を超える納屋をリノベーションした「SAUNA NAYA」=古河市大堤

壁面は、お茶をイメージさせる緑色の漆喰が塗られています。「この色を出すのに職人さんは苦心したようです」と中島さん。古河市は歴史的な建築物も多く、古い建築物の修理を得意とする業者も多いそうです。今回行った建物のリノベーションも、すべて古河市内の業者に依頼しています。文字通り古河の職人さんの力を結集した工事だったようです。

中島さんによると「元々生活用途で建てられた建物ではないので、水回りの配管などは新規で自由にできましたが、そこがかえって難しかったです。外回りはほぼ開拓作業でした」とのこと。改装後のイメージはしっかり固まっていましたが、実際に工事に入ると、柱の間隔が設計図と微妙に違うなど、問題が次々に出てきたそうで「図面通りにはいかず、一つひとつの問題を確認しながら作業を進めていきました」と当時を振り返ります。

「ロウリュ」は、お茶で!

1階に戻り、サウナ室に入ります。サウナの入口は、茶室の入口をイメージし、あえて小さくしたそうです。

サウナ室に薪ストーブの炎がゆらめきます=古河市大堤

サウナ室に薪ストーブの炎がゆらめきます=古河市大堤

漆喰仕上げのサウナ室内部には、薪ストーブと3段の席があります。装飾や照明を最小限に抑えた薄暗い空間に、薪ストーブの炎がゆらめいて、茶室のような落ち着いた雰囲気です。かすかにお茶の香りがします。

「SAUNA NAYA」の最大の特徴は、お茶を使った「ロウリュ」を体験できることです。使われるのは、もちろん吉田茶園で生産された「さしま茶」。主にほうじ茶が使われます。

ロウリュに使われるお茶は、「ケバ茶」と呼ばれる、茶葉の葉脈や茎の部分。加工しづらいので本来は茶葉を製造する際に、捨ててしまう部分だそうです。それを捨てずに焙煎ばいせんしてほうじ茶にしたものが、「ロウリュ」の際に使われるそうです。サウナ室に微かに香るお茶の香りの源です。ほうじ茶の他に緑茶や和紅茶の時もあるそうです。

サウナ内に置かれた「ロウリュ用」用のお茶=古河市大堤

サウナ内に置かれた「ロウリュ用」用のお茶=古河市大堤

「ととのい」に欠かせない水風呂は味噌樽を再利用

サウナ室から建物の外に出ると、周囲を柵に囲まれた、外気浴スペースがあります。玉砂利が敷き詰められた外気浴スペースに出ると、まず目に飛び込んでくるのが高さ2メートルの大きな樽です。
こちらは、栃木県栃木市の味噌蔵「油伝ゆでん味噌」から提供を受けた、明治時代に製造されたと伝わる味噌樽を、水風呂として再利用したものです。木製の階段を昇って水風呂の上まで昇ると、中には年間を通して、16~18度の地下水が貯められています。「ととのう」には最適な水温とのことです。

明治時代の味噌樽を再利用した水風呂=古河市大堤

明治時代の味噌樽を再利用した水風呂=古河市大堤

外気浴スペースにはもちろん、火照った身体を冷ますシャワーやリクライニングチェアが設置されています。サウナ室、水風呂、外気浴、そしてサウナ室…。サウナ室でお茶の「ロウリュ」をすることで、他のサウナとはひと味違った「ととのう」体験ができること、請け合いです。

リクライニングチェアで、思う存分「ととのう」ことができます=古河市大堤

リクライニングチェアで、思う存分「ととのう」ことができます=古河市大堤

また、日が落ちて辺りが暗くなると、外気浴スペース内がライトアップされ、周辺の木々の影が浮かび上がり、幻想的な空間に変化します。日光の下での外気浴とはまた違った気分で、リラックスできるはずです。

日が落ちるとライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれる外気浴スペース(SAUNA NAYA提供)

日が落ちるとライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれる外気浴スペース(SAUNA NAYA提供)

来年1月にはカフェもオープン予定、1日中過ごせる茶園に!

「SAUNA NAYA」の整備では、クラウドファンディングも活用、見事に目標金額をクリアしました。「もちろんお金はあれば嬉しいですが、それよりも施設の周知、仲間作り、皆で作ったという実感を得ることができたのが大きかった」と、中島さんは当時を振り返ります。クラウドファンディングのイベントでこの取り組みのプレゼンをしたり、以前サウナ関連でクラウドファンディングをした経験者にリターンの内容や金額についてのアドバイスを聞いたりと、お金を得る以上の様々な経験ができたそうです。

明治時代の味噌樽を再利用した水風呂には、ほてった身体を冷ますのに最適な水温の水がなみなみと…=古河市大堤

明治時代の味噌樽を再利用した水風呂には、ほてった身体を冷ますのに最適な水温の水がなみなみと…=古河市大堤

2025年1月には、吉田茶園の敷地内にカフェもオープンする計画も進んでいます。吉田さんは「古河まで来てもらうのは、東京の人にとってちょっとした旅行。3時間、サウナでのんびりし、その後カフェでもまったりしてもらえます。まる1日、リトリートできる茶園にしたいです」と今後の展望を話してくれました。

中島さんは「自分たちの理想とするサウナにすることができました。今までにない体験ができます。サウナ好きの人もそうでない人も、ぜひ来てほしい」、吉田さんは「お茶もサウナも敷居が高いと思われがちですが、気軽に来てほしいです。特別な体験が出来る、遊べる茶園なので、気軽にお茶の世界を楽しんでほしい」と、多くの人の来場を呼びかけていました。

吉田茶園のさらなる進化にますます期待が膨らみます!

「SAUNA NAYA」の利用料金などまとめ

「SAUNA NAYA」の利用は、ホームページからのオンライン予約が基本となります。直接訪れても利用できませんので、ご注意ください。貸し切り(2~8名)と相席(1名~)があります。利用時間は着替え時間も含めて3時間となります。ポンチョや水着などのレンタルもあります。詳細は以下の表やホームーページをご覧ください。

利用
人数
平日
料金
休日
料金
利用
時間
コース内容 備考
貸し切り
利用
2~8名 6,500円
/1名
7,000円
/1名
3時間 お茶ロウリュ
スタッフ一押しのお茶とお茶ロウリュ提供
相席利用 1名~ 2,500円
/1名
3,000円
/1名
3時間 お茶ロウリュ ※ほかの利用客がいる場合があります
(水着着用で男女混浴)
SAUNA NAYA
住所:茨城県古河市大堤1185-3
電話:080-2017-7037
営業時間:10:00~20:00
休業日:水・木曜日
ホームページ:https://naya-sauna.studio.site/top
予約はホームページから。

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