外来カミキリ被害拡大 古河二中の桜並木伐採 茨城県内は前年度の2倍10市町確認 「とりぷれエリア」8市町全て



クビアカツヤカミキリ=2025年7月10日、古河市鴻巣の古河公方公園 下妻市
クビアカツヤカミキリ=2025年7月10日、古河市鴻巣の古河公方公園

茨城県古河市鴻巣の市立古河二中の正門から校舎に続く桜並木が消えました。長年にわたって学校関係者に親しまれてきましたが、サクラやモモの木を食い荒らす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の影響で伐採を余儀なくされました。

クビアカツヤカミキリは2019年に茨城県内で初めて、古河市内で確認されました。その後市内で被害が相次ぐほか、これまでに見つかった県内自治体は10市町と、前年度時点の2倍に上っています。

広がる脅威に、専門家は「被害が広がってしまうと対策が難しくなる」として、初動対応の重要性を訴えています。

「倒れると危ない。カミキリに幹や枝の中身が食われ、枝がぼろぼろ落ちてくる。最近は花が咲く木も限られる」

2025年12月13日の昼過ぎ。古河二中で菊池隆史校長(59)が電動のこぎりでサクラの木を切りました。

桜並木の最後の一本を切る菊池隆史校長(左)=2025年12月13日、古河市鴻巣

桜並木の最後の一本を切る菊池隆史校長(左)=2025年12月13日、古河市鴻巣

幹線道路に面した正門から校内に伸びる桜並木はこれが最後の一本。学校関係者の間で「桜通り」と呼ばれ、卒業アルバムなどを彩ってきた桜並木はこの日なくなりました。

伐採に踏み切ったのは、昨年秋に古河市内の別の学校で倒木被害が伝えられたためです。すぐに市に相談し、十数本あった桜並木のうち5本を伐採してもらい、その後は休日を利用して自ら切り進めました。

菊池校長は「卒業生や学校関係者には桜並木がなくなると寂しいという声もある。でも多くは市内の被害状況を知っているので理解してくれる」と話しました。

クビアカツヤカミキリはサクラやハナモモといった樹木に寄生し、幼虫が内部を食い荒らします。繁殖力が強く、成虫の行動範囲も広範。被害を受けた木の内部はぼろぼろになり、空洞ができてしまうこともあります。

特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」

特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」

古河市内では、ハナモモの名所として知られる同市鴻巣の古河公方公園をはじめ、JR古河駅周辺の遊歩道、同市駒羽根の公園のサクラなども深刻な被害を受けています。市役所古河庁舎も、成虫が卵を産みつけるのを防ぐ青色のネットを巻いたサクラの木が目立ちます。

古河市によりますと、25年度の市内の外来カミキリ捕殺数は24年度の6.5倍の5074匹で、ほとんどがクビアカツヤカミキリでした。

被害は他自治体にも広がっています。茨城県によると、25年度、筑西、坂東、桜川下妻の5市町で新たにクビアカツヤカミキリが見つかりました。確認された県内自治体は24年度時点で古河、つくば、結城八千代五霞の5市町でしたが、2倍の10市町に拡大しました。

これに伴い、子どもたちの手を借りて駆除する「いばらきカミキリみっけ隊」による捕獲数も増加。クビアカツヤなどの外来カミキリは6~9月末までの間に7414匹捕まえられ、前年同期比の1.96倍に上りました。

森林総合研究所昆虫生態研究室の加賀谷悦子室長(52)は「被害の大きな木を放置するのは危険」と指摘。「樹皮の内側の『形成層』を食い荒らされると栄養分が行き渡らなくなり、重い枝が幹近くから落ちる恐れがある。枯れてしまえば倒木の危険も出てくる。伐採するなどして適宜除去するべき」と話します。

その上で、加賀谷室長は「県内各市町の状況は一様ではない。被害拡大を防ぐためにも早めの対処が必要」と呼びかけています。


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