茨城県古河市、五霞町、八千代町、栃木県野木町で2026年4月17日(金)まで開催されている観音霊場巡り「葛飾坂東観音御開帳」。3日目(最終日)の道行きをリポートします。間の抜けた筆者は果たして「結願」できたのでしょうか。
■札所一覧

札所一覧(円満寺提供)
オリジナル瓦せんべい
3月吉日、最終日の3日目は、第29番・千手堂(古河市関戸)から始まりました。前夜は古河市内のビジネスホテルに泊まりました。
千手堂ではこの日最初の参拝者になり、地元の皆さんから歓迎されます。細い路地にあり、つい見過ごしてしまいそうな小さなお堂ですが、地域の方々に大切にされていることが伝わります。

第29番札所・千手堂=古河市関戸
お接待に、「千手堂」が焼き印された、オリジナルの瓦せんべいをいただきました。

第29番札所・千手堂でいただいたオリジナル瓦せんべい
ただ、千手堂を最初に訪問したことが、後になって日程に大きく響いてきます。
続いて、32番・如意輪堂(古河市小堤)に移動します。ここもその日最初の参拝客ということで、注目されてしまいました。続く33番・円満寺(同)は、「葛飾坂東観音御開帳」の事務局が置かれている、住職がいる大きな寺院です。
円満寺で一緒になった男性は東京都内から車で来ていて、白衣を着ています。観音堂にお参りするときに般若心経を大きな声で唱えていました。筆者は周囲を気にしていつも小声になってしまいます。

第33番札所・円満寺で観音様にお参りする男性=古河市小堤
続く番外・小久保堂(古河市上大野)は、今回の札所40カ所の中で唯一、私有地に建っています。名前のように小久保さん宅だそうです。素朴な休憩所には主が回った全国各地の札所の朱印が掛け軸になって掲出されていて、壮観です。

個人の敷地内に建つ番外・小久保堂=古河市上大野

全国各地の霊場(札所)巡りの後に作った掛け軸
27番・真定院(古河市上大野)から28番・福智院(同市稲宮)へ。福智院では受け付けの横でコメやそば粉が販売されていました。お接待の甘酒をいただくと、気持ちがほっこりします。

28番・福智院ではコメやそば粉が販売されていました=古河市稲宮
16番・龍蔵院(古河市柳橋)と17番・華蔵院(同)は目と鼻の先にあります。龍蔵院は住職のいる立派な寺院。華蔵院は地域の小さなお堂です。華蔵院の駐車場に車を止めてお参りした後、龍蔵院には歩いて向かいました。

華蔵院の観音像=古河市柳橋
龍蔵院には観音像に加え、境内に七福神の石像もありました。

龍蔵院の境内に立つ、七福神像=古河市柳橋
納経帳は…
龍蔵院の次の札所は18番・久昌院(古河市山田)です。ここは昨年開催された「猿島阪東観音開帳」の第9番札所にもなっていました。なので周辺の道路も何となく既視感があります。
駐車場に着いて、納経帳(朱印帳)を探すも、車内にもかばんの中にも見当たりません。直前の龍蔵院に置き忘れた可能性があります。
青くなって龍蔵院に引き返し、受付に駆け込むと、「お忘れになっていましたよ」と女性に笑われました。受付に納経帳を預けたまま観音堂や本堂の写真を撮っていて、そのまま久昌院に向かってしまったのでした。「気が付いてよかったねえ」。おじさんたちにもからかわれてしまいました。

第16番札所・龍蔵院の朱印
車に戻り、久昌院にUターンする前に納経帳を確認します。残すは久昌院、そしてラストの34番・養性寺の2カ所のはず。「ここで少し時間をロスしたが、昼前には終わるだろう」と思った瞬間、がく然としました。納経帳の30番・普門院(古河市西牛谷)と31番・観音寺(野木町中谷栗山)のページが「空白」になっていたからです。
この日は29番・千手堂からスタートしましたが、普門院から始めて、観音寺に寄って千手堂に向かうというのが本来の計画でした。理由は分かりませんが札所2カ所をすっ飛ばして3カ所目から始めてしまっていたのです。
普門院と観音寺は久昌寺と逆の方角、特に観音寺は栃木県野木町にありますが、戻ります。
そうして着いた普門院は国道125号沿い、車の通りの多い場所にありました。地域の方々が守っており、地域防災組織同士の交流があるという、東日本大震災の被災地、宮城県南三陸町の海産物などが販売されていました。

第3番札所・普門院では、東日本大震災の被災地・宮城県南三陸町の海産物などが販売されていました=古河市西牛谷
観音寺は素朴なお堂で、地域の観音様といった印象。境内にはブラウン管テレビや足踏み式ミシンなどが展示され、レトロ感漂います。

第31番札所・観音寺の境内で開催されている「昭和レトロ」の展示=野木町中谷栗山
観音寺からそれなりに長い道を走って久昌寺へ。龍蔵院とともにこの日2度目の訪問になります。境内には大判焼きの屋台が出店し、カラオケの舞台も設置されていて、春風を浴びながら女性が気持ち良さそうに歌声を披露しています。この日は、観音堂の前のシダレザクラが見事に咲き誇っていました。

第18番札所・久昌院の境内にはカラオケのステージも開設されていました=古河市山田

第18番札所・久昌院のシダレザクラ=古河市山田
ついに結願
そして、最後の札所は34番・養性寺(古河市恩名)です。「結願」するのにはあまり似つかわしくない、小さなお堂でした。それでも受付の女性たちが気さくで、朱印と結願証をいただいてからも、しばらく雑談を続けてしまいました。

最後に訪れた第34番札所・養性寺の観音像=古河市恩名
ドラマチックなラストはありませんでしたが、いくつかのトラブルを乗り越えて、2026(令和8)年、丙午の「葛飾坂東観音御開帳」、札所40カ所を回り終えることができました。

第34番札所・養性寺の朱印(左)と結願証
どこの札所でも対応、接待が素晴らしく、地域の方々との触れ合いが、札所巡りの醍醐味の一つになっています。地域の方々を通して観音様の慈悲、慈愛をいただくような印象です。
小さなお堂のそばにも臨時を含めて駐車スペースが確保され、簡易トイレも設置してあって、不安なく回ることができます。
車なら最短2日、余裕を持って3日で結願できるでしょう。開帳期間内に3周、5周する「強者」もいるそうです。でも、無理に40カ所全てを訪ねる必要はありません。まずは任意の札所にふらりと出かけて、地域の方々と交流しながら地域の魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。

「接待」「おもてなし」でいただいた、せんべいや菓子、お守り、ポチ袋など

案内地図(円満寺提供)
開催期間:2026年3月18日(水)~4月17日(金)
拝観時間:午前8時半~午後5時
問い合わせ:葛飾坂東観音霊場事務局・円満寺☎080-7614-8239
ホームページ:https://katsushikabandou.com/
