街歩きなどフィールドワークから得られた印象を基に、土地の成り立ちに迫る絵画に取り組む東京都の画家・加藤真史さん(42)の個展が、2026年3月22日(日)まで、茨城県境町坂花町のS-Gallery粛粲寶美術館で開かれています。
養蚕業キーワード
展覧会は町アートプロジェクトが主催しました。かつて関東地方で栄えた養蚕業をキーワードに、東京の多摩地方や境町など利根川沿岸地域などを俯瞰する視点で描いた23点を展示しています。

作品を解説する加藤真史さん=境町坂花町のS-Gal lery粛粲寶美術館
加藤さんは国内各地の郊外を実際に歩き、その土地の景観をつくってきた歴史を調べて制作に取り組んでいます。多摩地方でのフィールドワークで注目したのが、街の歴史と養蚕業との関わりでした。
金色姫伝説
加藤さんの生活圏でもある東京都八王子市は、かつて「桑都」と呼ばれるほど養蚕業が盛んでした。各地の養蚕地帯には「金色姫伝説」があり、古代のインド(天竺)から日本に流れ着いた姫が養蚕の技術を伝えたといいます。加藤さんは、金色姫が茨城県から八王子を通過し、横浜から海へと渡り歩いたと想像し、2024年から連作に取り組んできました。
一連の作品はロールプレーイングゲームのマップを思わせる地形図に、地名や建物、名所、史跡が立体的に描き込まれたユニークな作風。地形を強調したシンプルな作品から、水彩やアクリル、色鉛筆を使って彩りも豊かに仕上げた作品もあり、作者の解説文も添えられています。
今回展示する連作の5期目は、金色姫が加藤さんの想像上のルートを通り、境町で東に向かい、利根川をたどって海に帰っていく想定で描かれました。加藤さんは「見慣れた風景も視点が変わると違って見える。そんな感覚を楽しんでほしい」と話しています。

粛粲寶美術館外観=猿島郡境町坂花町
所在地:茨城県境町坂花町1455ー1
開館時間:午前10時~正午(入館11時半まで)、午後1時15分~同5時(入館同4時半まで)
入館料:330円(18歳未満と65歳以上無料)
休館日:月・火曜(祝日の場合開館、翌日振替休館)
問い合わせ:町まちづくり推進課☎0280-81-1314
