茨城県五霞町のキユーピー五霞工場の見学レポート後編では、マヨネーズに加えもう一つの主役である「ドレッシング」の製造工程と、工場見学のハイライトである卵を割る「割卵」行程、さらに驚きの資源再利用、そして待ちに待った試食体験の模様を詳しくお伝えします。
日本のサラダ文化を変えた、ドレッシングの進化
マヨネーズのラインを後にし、次に向かったのはドレッシングの製造エリアです。キユーピーが日本で初めて「フレンチドレッシング(赤)」を発売したのは1958(昭和33)年のこと。当時はまだ、日本に生野菜を食べる習慣がほとんどなかった時代でした。そこから和風、中華風、そして今や不動の人気を誇る「深煎りごまドレッシング」へと、日本の食卓を彩り豊かに変えてきた歩みが見て取れます。

キユーピー五霞工場で製造されているドレッシング製品の一部
ドレッシングの製造ラインでも、五霞工場ならではのこだわりが光ります。注目のポイントは「2回充填」。油分と調味液を別々に充填することで、素材の風味を最大限に引き出しています。また、ドレッシングを混ぜる際、私たちはつい上下に激しく振ってしまいがちですが、案内役の方からは「ボトルの横を持ち、そこを支点に左右に振ると、最もきれいに混ざりますよ」という、明日から使える豆知識も教えていただきました。
最近では、マヨネーズやドレッシングなどの製品に動物性原材料を使わない「グリーンキューピー」シリーズなど、環境や多様な食習慣に配慮したサステナブルな製品もここから生まれています。ドレッシングに使用されるボトルも100%再生プラスチックを採用しており、美味しさと環境配慮の両立という、現代の食品製造の理想形を目の当たりにしました。
圧巻のスペクタクル!最新鋭の割卵機が描く「卵の物語」
工場見学の最大の山場は、卵を割る「割卵」の工程です。マヨネーズに使うのは卵黄だけですが、その鮮度と品質を守るために、工場では自社内で卵を割っています。
驚いたのは、今夏導入されたばかりという最新型の機械です。これまでの1分間に600個というスピードも十分驚異的でしたが、最新型はなんと1分間に1500個もの卵を割る能力があるそうです。取材時はテスト中とのことでしたが、それでも1分間に1300個以上の卵が次々と割られ、卵黄と卵白が瞬時に仕分けられていく様子は、まさに「スペクタクル」と呼ぶにふさわしい光景でした。
しかし、機械任せにするだけではありません。その周囲では、熟練の担当者が目を光らせており、殻の混入や卵黄の崩れがないかを瞬時にチェックし、異常があれば手早く取り除いていました。最新技術とプロの「目」の融合が、キユーピーブランドの信頼を支えているのです。
「卵の殻」さえ無駄にしない、究極の資源循環
ここで一つ、大きな疑問が浮かびます。「残った卵白や殻はどうなるのか?」ということです。その答えは、キユーピーが掲げる徹底した資源循環の中にありました。
実はキユーピーは、日本で生産される卵の約10%を使用していますが、そのすべてを有効活用しているとのことでした。
・卵白:お菓子やかまぼこの材料として活用
・卵殻膜(殻の内側の薄い膜):化粧品や食品の原料に
・殻:チョークや土壌改良材、カルシウム強化食品に
さらに驚かされたのは、割卵の工程の見学通路の一部に使われている壁紙です。「エッグウォール」と呼ばれるこの壁紙は、製造過程で出た卵の殻で作られているそうです。卵の殻は呼吸をしているため、通気性に優れ、室内の湿度を快適に保つ効果があるのだとか。
1日で4トンも出るという殻を、様々な用途に再利用する姿勢に、深く感銘を受けました。
できたてよりも「2ヶ月後」? 試食で知る美味しさの真実
見学の最後は、お待ちかねの試食タイムです。案内役の和田さんによる、軽妙かつ知識豊富な説明に感心しながら、清潔な試食会場へと移動します。
道中、和田さんからクイズが出題されました。「工場で作ったばかりのマヨネーズと、お店に並んでいるマヨネーズ、どちらが美味しいと思いますか?」。
答えを確認する(ここをクリック)
試食コーナーでは、1人1パックの生野菜が配られ、テーブルに並んだ20種類以上のドレッシングやマヨネーズを自由に試すことができます。

試食コーナーで配られた生野菜に様々なマヨネーズやドレッシングをかけてみました
お店で見かけて気になっていた燻製風味のマヨネーズや、季節限定のレアなドレッシングもあり、皆さん会話を弾ませながら、お気に入りの一品を探していました。

試食コーナーに並んだドレッシング。多すぎて選ぶのに悩みます
また、一緒に提供された「ビネガードリンク」も秀逸でした。グループ会社である「キユーピー醸造」が業務用に製造しているもので、飲んでみるとお酢の酸味を全く感じさせない爽やかな甘さが印象的。通常は一般販売されていない珍しい一品も、併設のショップで手に入れることができるので、迷わず購入しまてしまいました。

併設のショップで筆者が購入した戦利品
取材を終えて・・・五霞町から届く「食の未来」
帰り際、選べるお土産の中からオリジナルのクリアファイルを手にしました。五霞工場での90分間は、単なる見学を超え、私たちが毎日何気なく使っている調味料が、どれほど多くの工夫と優しさで作られているかを教えてくれる貴重な時間でした。

悩みましたが選べるお土産から筆者が選んだクリアファイル。ミニサイズのマヨネーズが付いていました
この巨大な工場から、明日もまた、何万本もの美味しさが全国へと旅立っていきます。私たちの食卓を支えるキユーピーの情熱は、入口の激しいエアシャワーの風よりも強く、そして卵の殻で作られた壁紙のように、穏やかに未来へと繋がっていくようでした。
キユーピー五霞工場「オープンキッチン(工場見学)」予約ガイド
1. 予約方法
予約は公式サイトからの「インターネット予約」が基本です。
・予約サイト: キユーピー公式サイト 工場見学(五霞工場)
・受付人数: 1名〜(個人見学の場合)
※団体(学校や公共団体など)の場合は、別途電話での相談が必要な場合があります。
2. 予約開始タイミング
・予約の公開: 通常、見学希望日の数ヶ月前から予約枠が順次開放されます
・混雑状況: 土日祝日は休業のため、平日の実施となります。夏休みなどの長期休暇期間は非常に予約が埋まりやすいため、公開直後のチェックが推奨されます
3. 見学の概要
・実施日: 月曜日〜金曜日(工場の休業日を除く)
・所要時間: 約90分
・参加費: 無料
・開始時間: 1日複数回開催(10:00〜、13:30〜など)
※日によって開催枠が異なるため、カレンダーでご確認ください。
4. 注意事項
・撮影制限: ロビーや一部のフォトスポットを除き、製造ラインなどの工場内部は撮影禁止となっています。案内役の指示に従ってください
・アレルギー: 試食コーナーがあるため、卵などのアレルギーをお持ちの方は予約時に必ずご確認ください
・キャンセル・変更: 予約サイトから手続き可能です。定員に達している場合、キャンセル待ちの機能はないため、こまめにサイトを確認することをおすすめします
・ペット同伴: 補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)を除き、ペットを連れての入場はできません
所在地: 〒306-0313 茨城県猿島郡五霞町小手指187
車でのアクセス: 圏央道「五霞IC」より約10分。無料駐車場を完備しています
公共交通機関: 東武伊勢崎線「幸手駅」またはJR宇都宮線「栗橋駅」からタクシーで約15〜20分。バスの便が少ないため、タクシーや自家用車の利用がスムーズです
