下館ラーメン物語　出前文化から生まれたソウルフードは懐かしい昭和の味　「盛昭軒」と「麺屋あおい」訪問　筑西市

「とりぷれエリア」のラーメンと言えば、栃木県の「佐野ラーメン」が全国的に有名ですが、茨城県にも庶民から長く親しまれているラーメンがあります。「下館ラーメン」です。

元祖、盛昭軒

旧下館市（現筑西市）の市街地は、足袋底の産地として江戸時代から発展、明治時代に水戸線下館駅ができると、商業の集積地として活気づき、茨城県西地域を代表する商都に発展しました。昭和の高度成長時代、商人たちは食事をすることもままならないほど忙しかったそうです。

このような状況の中で誕生したのが「下館ラーメン」です。

元祖は1957（昭和32）年創業の「盛昭軒せいしょうけん」です。創業者の松本明さん（故人）は出前で時間がたっても伸びないように水分の少ない麺を作り上げました。

さらに、豚肉でなく安価な鶏肉を「チャーシュー」に使い、スープも鶏ガラと地元野菜で出汁を取って、濃い口しょうゆのかえしを合わせました。

下館ラーメンの元祖、「盛昭軒」のラーメン（750円）

「盛昭軒」のラーメンは安くておいしいと評判を呼び、松本さんは麺を卸すことを条件に、ラーメンのレシピを教えたそうです。こうして「盛昭軒」の味は町中へ広がっていきました。

実食してみると

ラーメンを食べるには暑い季節になりましたが、元祖の味を食べたくて「盛昭軒」を訪問すると、暑い日でも客がたくさん来ています。

盛昭軒＝下館市甲

最大の特徴と言えるのは中細の縮れ麺。しっかりとしたコシがあります。

しっかりとコシのある縮れ麺

「鶏チャーシュー」は柔らかく、やや甘みのあるしょう油スープによく合います。

スープと相性のいい「鶏チャーシュー」

昭和を思い起こさせる懐かしいラーメンで、このシンプルな味わいがお客さんの胃袋をつかんで離さないのでしょうね。

新風、麺屋あおい

翌日は「麵屋あおい」へ行ってみました。

麵屋あおい＝下館市乙

「麵屋あおい」は「下館ラーメン」の伝統を守りながら、トッピングを工夫した新しいメニューに取り組んでいました。

いただいたのは「あおいラーメン」（900円）。伝統を守りつつ、トッピングの背脂や岩のりが新たな息吹を吹き込んでいました。

背脂、岩のりがトッピングされた「あおいラーメン」

下館ラーメンはソウルフード

筑西市では市民有志や市職員たちが「下館ラーメン学会」を立ち上げ、各店舗の特徴などをホームページに掲載するなど、「下館らーめん」の普及に取り組んでいます。

地元の製麺所ともコラボしてお土産用の「下館ラーメン」も誕生しました。

道の駅グランテラス筑西で販売されている「下館ラーメン」＝下館市川澄

「下館ラーメン」は筑西市民が愛してやまないソウルフードです。ぜひご賞味ください。