関東鉄道下妻駅から徒歩5分。茨城県下妻市にある「坂入模型店」は、プラモデル愛好家の中ではちょっと知られたお店です。全国各地から足を運ぶファンが多く、吉本興業所属の芸人やファミコン名人として一世を風靡した高橋名人も来店したことがあり、その様子が動画サイトやブログで紹介されています。どんな店か気になるので行ってきました。
伺った日は日曜日。開店時間の午前11時を30分過ぎた11時半に到着したのですが、すでに親子連れを含む10人ほどのお客さんで店内がにぎわっていました。その後もひっきりなしにお客さんが訪れます。
晴れた日は店の外まで商品が並ぶそうですが、この日はあいにく雨模様。店内はプラモデルの箱で埋め尽くされており、この時点で圧倒されました。ラジコンやエアガン、懐かしいおもちゃも並んでいます。
店のスタッフによると売れ筋は、機動戦士ガンダムシリーズのプラモデル(ガンプラ)やポケモンなどキャラクター系のプラモデル。メーカーのホームページなどで販売情報が解禁になると注文が相次ぎ、さらに新商品発売日には店の前に50人を超える長蛇の列ができることもあるそうです。注文票を見せてもらいましたが、年内は予約注文がびっしり埋まっていました。
そして筆者が最も興奮したのが、1980~90年代に爆発的にヒットしたファミコンやセガサターンなど家庭用ゲーム機のソフトです。新品が定価で店頭に並んでいます。ファミコン世代にとっては、すべてが宝のように輝いて見えました!
お宝が眠るであろう店内をさまよっていると「雨だから協力し合って見てね~。どんどん出すから欲しいもの言ってね~」と言う声が聞えてきました。声の主は、店長の坂入和則さんです。
「また来ます」の声が原動力
坂入模型店は、坂入さんの父親が開業した店で創業から60年余り。5年ほど前に店舗の3倍の広さの倉庫に在庫を抱えた状態で、先代から店を受け継ぎました。
「最低限メシだけは食える」と父親から言われたそうですが、25年間銀行員だった坂入さんは、やるからには店を盛り立てたいと、昔からある問屋と契約し直すなど店の立て直しに尽力。そのかいもあって、次第に品ぞろえの豊富さや貴重な品を取り扱っているということが口コミなどで広がり、県内にとどまらず全国からファンが訪れる人気店になりました。
「人気の秘密? そりゃぁ、うちに魅力があるからでしょう。絶好調! 何でもそろいますよ!」とユーモアたっぷりに話す坂入さんの人柄も、同店の大きな魅力の一つです。
奥には、お客さんが考案したという坂入さんがモデルのガレージキット(レジンキャストなどで少数生産される組み立て式の模型)のコンテスト作品が並んでいました。
店を始めて一番嬉しかったことは、お客さんの「また来ます」という言葉。感謝と恩返しと親孝行を新年の目標に掲げているという坂入さんは、改めて店を継いで良かったと振り返っていました。
住所:茨城県下妻市下妻乙349-28
営業時間:午前11時~午後6時
定休日:火曜ほか不定休
電話番号:0296-44-2274