茨城県境町には、世界的な建築家・隈研吾さんの設計した建物が、2024年現在7つ存在しています。筆者はこれまで、道の駅さかいの「さかいサンド」と「茶蔵」を訪れたことがあります。とりぷれでは、ほかに「S-Gallery 粛粲寶美術館」をライターのDKC2024さんが紹介しています。どうせなら全部見てみたいと思うのは人情。どのくらいの時間で全て訪問できるのか、挑戦してみました。
スタートは道の駅さかいから
7カ所もあるので、どう回るかが大切です。数学の「巡回セールスマン」問題(複数の決められた地点をセールスマンが巡回して最後に出発地点に戻る際、どう回れば最も移動距離が少ないか、という組み合わせ最適化の問題)を解く気分です。今回は最終訪問地から帰るので、厳密には巡回セールスマン問題ではありません。
地図を見ると、同町内の7カ所の隈研吾建築物は、ほぼ3地域にまとまっていることが分かりました。
スタート地点は、迷いなく「さかいサンド」と「茶蔵」のある道の駅さかいに決まりました。正午過ぎ、道の駅さかいに到着。道の駅さかいの中にある「さかいサンド」にたどり着きました。木材を複雑に組み合わせた店舗は、規模こそ大きくありませんが、いかにも隈研吾さん設計とうなずける偉容を誇っています。ここが境町で最初に建てられた隈研吾さん設計の建物です。
過去、とりぷれでDKC2024さんが詳しく書いていただいていますので、そちらをお読みください。
道の駅さかいの中を抜ければ、「さかいサンド」から「茶蔵」までは2分もかからず到着できます。「茶蔵」1階のカフェ「SHED」では、多くの人が思い思いに涼んでいました。筆者も涼を取るか迷いましたが、ここは我慢。外観を撮影しながら、その後の移動手段をどうするか考えを巡らせます。
この日、境町に近い古河市では最高気温が30度を大きく超えました。車載の外気温計の数字は39度! 壊れているのかと思いました。実際、撮影に使っていたスマートフォンがあまりの暑さにダウンし、カメラアプリが起動しなくなるアクシデントも発生。非常に過酷な気象条件だったのです。
美術館までどうやって行く?
そんな中、土地勘も無い所を徒歩で取材して良いものか。悩んでうつむいた視線の先に、救いの手がありました。「粛粲寶美術館」と書かれた赤い線と白い矢印、現地までの距離が、歩道に引かれていたのです。目的地までは約440メートルとのこと。急ぐ旅でもないので、ゆっくり歩けば、この灼熱のような酷暑の中でもたどり着けるはず。午後0時20分、意を決して歩き始めます。
暑さのせいでしょうか、人とすれ違いことはありませんでした。道路の案内にある、残りの距離がだんだん減っていきます。10分ほど境町の通りを歩き、ようやく「S-Gallery 粛粲寶美術館」に到着です。しかし、うっかり忘れていることがありました。同美術館では、午後1時15分が午後の開館時間なのです。現在時刻は午後0時40分。DKC2024さんの記事にもしっかり書いてあったのに、見事に忘れていました。ギラギラと照り付ける太陽の中、頭の中が真っ白になり立ち尽くします。
干し芋が感じさせてくれた無限の可能性
しかし、救いの手はすぐ近くにありました。「S-Gallery 粛粲寶美術館」の至近距離にある、「HOSHIIMONO 100 Café」です。こちらも隈研吾さん設計で、目的地の一つでした。干し芋の専門店ですが、カフェも併設されいます。涼しさを求め、砂漠のオアシスに吸い込まれるように店内に入ります。
注文したのは、干し芋のペーストの上に芳醇なアイスカフェオレが入った「HOSHIIMOアイスカフェラテ」。さらに「こちらのプリンは期間限定なのですが、セットにできますよ。いかがですか?」。店員さんの巧みなトークにつられ、「期間限定」という言葉に弱い筆者は、「HOSHIIMO和紅茶プリン」もオーダーしてしまいました。定番人気の干し芋プリンの上に、さしま茶のクリームとブルーベリーがトッピングされています。テイクアウトできるのはもちろん、店の2階で食べることもできます。
運ばれてきた「HOSHIIMOアイスカフェラテ」と「HOSHIIMO和紅茶プリン」は、付け合わせの干し芋が脇になければ、干し芋が使われているようには全く見えません。
カフェラテの底のペーストから干し芋のねっとりした甘さは感じられず、風味がわずかに感じられます。カフェラテと混ぜてみると、逆に干し芋っぽさが増したように思いました。
和紅茶プリンは、思ったより固め。干し芋のためか、滑らかさの中に普通のプリンにはない、さらさらとした舌ざわりを感じました。和紅茶のクリームとの相性は言うまでもありません。あっという間に完食です。
飲み終わって店員さんからも話を聞くことができました。それによると、商品に使用しているペーストは、サツマイモではなく干し芋をペーストに加工していいるとのこと。さつま芋特有の繊維質が全く感じられないのは、ていねいに手作業で作っているため、香り高いコーヒーやプリンなどの乳製品などと合わせても、ほのかな干し芋の風味が残るのでしょう。
店内のメニューを見ると、「甘酒」「シェイク」などの飲み物や「トースト」など、干し芋と合わせることなど思いもつかないものが多数ありました。干し芋という食べ物の無限の可能性を改めて感じることができました。
ついでに干し芋自体も味わいたいと、店内のショーケースを眺めます。10種類を超えるさまざまな品種の干し芋が並ぶ中、チョイスしたのは「べにはるか」と丸干しの「金上黄金」。「その丸干しは、今シーズン最後の一つですよ! 運がいいですね!」。店員さんの言葉に元気をもらいます。何しろこの後、また酷暑の中を歩くのですから…。
残るは4カ所。まだ折り返し地点に到達していません。
所在地:茨城県境町1341-1(道の駅さかい)
営業時間:午前10時~午後4時半(不定休)
電話番号:0280-81-3101
インスタグラム:https://www.instagram.com/sakaisand/
住所:茨城県猿島郡境町1341-1
営業時間:平日は午前11時~午後4時、土日祝は午前10時~午後57時
※土日祝のお弁当販売は午前10時半~午後4時半
電話番号:0280-33-6605
インスタグラム:https://www.instagram.com/shed_sakai/
住所:茨城県猿島郡境町1459-1
電話番号:0280-33-3118
営業時間:午前10時〜午後6時(ラストオーダーは午後5時)
休業日:火曜日
ホームページ:https://www.hoshiimono100ka.com/