茨城県結城市結城のベーカリー「ばくtoPan(ばくとパン)」。日本カレーパン協会主催のカレーパングランプリで金賞を複数回受賞した実績を持つ「名店」です。カレーが大好きな筆者は、その味を求めて店を訪ねました。
開店5分前の9時25分に駐車場に到着し、車を降りて店の前に建ちます。おとぎ話に登場するような外観。辺りには香ばしいパンの香りが早くも漂っています。開店と同時に入ると、スタッフが焼き立てのパンを並べていました。
間もなく、常連らしい人たちが続々と入店してきます。皆さんお目当てのパンがあるようで、店員さんに焼き上がりの時間などを尋ねていました。
同店は、障害のある人が働きながら就労に必要な技能を身に付ける就労継続支援事業所でもあります。現在、24人の利用者が職員と一緒にパン作りにいそしんでいます。
カレーパングランプリでの金賞は、ウェブの人気投票で審査する2021年の本選に続き2度目になります。今回は、スポンサー企業の賞品を使って開発したカレーパンを実食して審査するスポンサー賞で受賞しました。「人気投票ではなく、実際に食べて審査してもらいたかったのでスポンサー部門でエントリーしました。皆の頑張りが認められてうれしい」と、若林賢店長は喜んでいます。
金賞を受賞した商品「とろたま旨辛!カレーパン」(280円)をいただきました。
生地はザクっとした食感です。カレーは思ったよりスパイシーで、肉や野菜のうまみとともにパンチの効いた味が口の中に広がります。これまで食べてきたカレーパンの中で、恐らく一番スパイスが効いていると思います。そして「とろたま旨辛!カレーパン」の立役者であろう半熟卵が、刺激的な辛さをまろやかな味わいに導きつつ、スパイスの風味を程よく際立たせています。食後も口の中に余韻が広がり、一気に2つ食べてしまいました。
カレーパンに使用しているのは、スポンサー企業のオリエンタル酵母工業の商品で、スパイス料理研究家の一条もんこさんが監修した、30種類のスパイスを使用したルーです。若林店長は、辛い物が苦手な人でもおいしく食べられるように、刺激的な辛さを和らげるために生地を甘めにしたり半熟卵を入れたりしてそれぞれの素材の良さを生かしつつ、全体の味を調和させることが一番難しかったと言います。試作を重ね、金賞に選ばれるカレーパンがようやく誕生しました。
店では80種ほどのパンを販売しています。材料の配合や成形など、作業の約7割を障害のあるスタッフが担当しており、商品開発にも積極的に携わっているそうです。
生地の成形を担当する近藤瑞記さんは「パン作りが楽しい」、浅岡祐哉さんは「(とろたま旨辛!カレーパンは)辛くておいしい。仕事は面白い」とそれぞれやりがいを話してくれました。
金賞を受賞し、新聞などメディアで取り上げられたことがスタッフの励みになっているそうです。若林店長は「一度きりの人生。パン作りを通してやりがいや生きがいを感じてほしい」と、スタッフに期待していました。
所在地:茨城県結城市結城6042-2
電話:0296-32-3650
営業時間:午前9時半~午後5時半(土曜・祝日は午後5時まで)
定休日:日曜
インスタグラム:https://www.instagram.com/baku.to.pan/