北関東3県境<とりぷれ>エリアの2025年国勢調査速報値をテーマ別に紹介する連載。最終回は「まとめ」です。過去4回で紹介したデータをもとに、エリア内22市町の現在の姿を整理します。
興味深かった“街の動き”
これまでの4回では、①人口・人口増減率②人口密度③世帯数・世帯増減率④人口性比(女性100人に対する男性の数)-を市町別ランキングで見てきました。
- ①北関東3県境の人口トップは太田市 5年前から増加した市町はゼロ
- ②北関東3県境の人口密度トップは群馬の… 1km四方に2297人が在住
- ③北関東3県境の世帯数トップも太田市 増加率トップは茨城の町
- ④北関東3県境は男性が多い!? 割合最多は八千代町 逆に女性が多いのは…
人口と世帯数のトップはやはり群馬県太田市でしたが、人口増減率では栃木県小山市、世帯増減率では茨城県八千代町がトップに立つなど、5年前との比較から見えてくる“街の動き”も興味深いものでした。
エリア内の市町を4分類
では最後に、これまでに取り上げたデータから<とりぷれ>エリアの市町が現在、どういう状況にあるのかを考えてみたいと思います。4つのクラスター(群)への分類にあたっては生成AIも活用しています。
安定型
「安定型」に挙げた3市町は、この5年の人口減少率が0~2%台と低く、世帯増加率は4%前後の増加となっています。
JR宇都宮線の駅を持つという共通項があり、アクセスの良さを背景にファミリー層の流入、定住が維持されています。
4つのクラスターの中では最も「安定している」状況ですが、今後の盛衰には中心市街地の再開発、住宅街の世代交代といった課題への取り組みが一定の影響を与えそうです。
新陳代謝型
続く「新陳代謝型」は、世帯数が約3~8%と大きく増加していると同時に、人口性比の数字が高い=男性比率が高いという特徴でくくっています。
工場や農場といった強力な産業基盤を持ち、外国人労働者を含めた「働く男性」を引きつけています。茨城県境町は子育て・新婚世帯向けの積極的な住宅政策でも知られています。
住んでいる人の構成が大きく変化している真っ只中で、「活気がある」という見方もできるかもしれません。多文化共生や定住化がよりいっそう進んでいくかどうかが注目点です。
緩慢減少型
「緩慢減少型」は、人口減少率-3%~-7%程度、世帯数は0%〜2%台の微増から横ばい、人口性比は100前後=男性と女性がほぼ同数という市町です。
工業や農業といった産業はあり、一定の世帯流入もありますが、データからは栃木県小山市や群馬県太田市、茨城県つくば市といった近隣の勢いのある自治体の陰に隠れてしまっている側面も否めません。
4つのクラスターで最多の9市町が当てはまり、エリア内の「平均的」な状況を表しているともいえます。緩やかな衰退を回避するためには、“選ばれる街”になるための魅力の創出が望まれます。
基盤沈下型
最後に「基盤沈下型」は、人口減少率-6%~-10%程度、世帯数も-1%以上の減少、人口性比が低い=女性が多いという市町です。
人口統計学的な話として、女性のほうが平均寿命が長いため、女性の割合が高いと「高齢化が進んでいる」傾向が考えられます。
栃木県足利市や群馬県桐生市はかつて繊維・織物産業で栄えた主要都市ですが、データの上からは、新たな世代の流入による新陳代謝が図られていない状況が読み取れます。
街としての活力を維持していくためには、人口・世帯数の減少を食い止める効果的なアクションが求められています。
国勢調査とは?
国勢調査(こくせいちょうさ)とは、日本国内に住むすべての人と世帯を対象として、5年ごとに行われる国で最も重要な統計調査です。
統計法という法律に基づいて実施され、調査結果は行政サービスや防災計画、将来予測などに使われます。
