国産100%の餌と放し飼いで育つ鶏
筑波山を望む茨城県下妻市の松崎養鶏舎では、四方を金網で囲んだ風通しの良い場所で鶏約500羽を放し飼いしています。砂場など遊び場と自由に行き来できる鶏舎で育った鶏はストレスが少なく、おいしい卵を産むそうです。生臭さが少なく淡白な味わいが特徴で、黄身の色を濃くする着色料も使っていません。

鶏が日光浴や砂遊びを自由にできます=下妻市高道祖
餌は代表の松崎真二さんが選定した国産の玄米や小麦、大豆などを使って毎朝手作りしています。大豆を煮て粉砕し、米ぬかなどを混ぜて発酵させたり、刈り取った雑草を鶏が食べやすいように刻んだりするなど、とても手間がかかります。
妻のまなみさんは「朝は3時半に起きてエサ作りを頑張っています。もう鶏の栄養士さんみたいですよ」と真二さんをねぎらいます。

卵は道の駅しもつまや下妻マルシェで購入できます
手間をかけて育てた卵は、外部の分析センターで調べてもらったところ、一般に市販されている卵の3~4倍のビタミンを含み、逆にコレステロールは16.5%ほど低かったそうです。
規格外の卵をきっかけに誕生
健康志向が高く食べ物に気を配っていた真二さんは、会社勤めの傍ら趣味で烏骨鶏を飼育していました。ある日、自然養鶏の本に出合って感銘を受け、10年ほど前に養鶏所を始動。3年後には会社を退職し、養鶏の道に進みました。鶏舎は全て真二さんの手作りです。
現在、真二さんを中心にまなみさんが卵の配達、真二さんの両親が検品や卵磨きを担当するなど家族で切り盛りしています。

左から常連客の大塚さん、真二さん、まなみさん
5年ほど前、養鶏が軌道に乗り始めた一方で、気になっていたのが規格外や売れ残りの卵でした。家族で消費するには限界があり、活用方法はないかと思案して思いついたのが、卵を使ったシフォンケーキでした。
菓子作りの経験は一切なかったという真二さんは、本を参考に独学でシフォンケーキ作りに挑戦。近所の人やお客さんからもらった感想を頼りに試作を重ねました。
自分のレベルがどのあたりなのか不安もあったため、菓子作り教室に通い、プロの先生に食べてもらいました。そこで高評価を得たことが自信につながり、本格的に販売を始めました。
シフォンケーキの原料は、卵、国産米粉、黒砂糖、こめ油などで、グルテンフリー。水を使わず国産大豆の豆乳を使用しています。

奥は20センチサイズのシフォンケーキ(3000円)。この日はレギュラーメニューにないマーブルも用意してくれました
食べてみると、ふわふわの食感に驚きました。生地はしっとりしていて弾力がありますが、口当たりは軽快。控えめな甘さで後を引くおいしさです。
この日つくば市からシフォンケーキを買いにきていた常連客の大塚昌弘さんは、「甘いものは苦手ですが、ここのシフォンケーキは甘さ控えめでおいしい。家族と一緒に食べます」と笑顔で話していました。
真二さんは「シフォンケーキを焼くと膨らまないと言う話をよく聞きますが、うちのはメレンゲのきめも細かく十分膨らみます。卵の鮮度がものを言います」と自信を見せます。
現在、シフォンケーキはプレーン、チョコ、チョコチップ、ラムレーズン、クランベリー、抹茶、紅茶の7種類を展開。直径17センチは1500円、20センチは3000円で販売しています。
1週間前までの予約注文(電話、LINE)のみ(受け取りは下記の住所まで。配送はしていません)。
今後は、ケーキの種類や販売場所も増やしていきたいとのことです。

自宅でいただきました。マーブルがメニューに加わる日も近い!?
卵は道の駅しもつま(下妻市数須)、下妻マルシェ(同市砂沼新田)などで購入できます。
所在地:茨城県下妻市高道祖3901
電話:090-4174-2037
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