「とりぷれ」エリアのソウルフード。第2回は「ちたけそば」です。知人から「ちたけそば」を食べさせてくれるそば店が茨城県桜川市内にあると聞き行ってみました。
県道つくば益子線を桜川市から栃木県益子町方面へ向かう途中に、「かやぶき亭」という大きな看板があります。そこを左折し約1キロメートル、集落内の細い道を進んだところに店がありました。
中に入ると、ご主人の上野定信さんが笑顔で迎えてくれました。
上野さんは元々は洋食のコックさん。生家に22年前に戻り、かやぶき屋根の長屋門を改築してそば店を開業しました。店内は長屋門の屋根組みが露出していて、古民家の風情が漂います。
先人の知恵
席に案内されメニュー表を見ます。いつもはいろいろと迷いますが、今回はもちろん「ちたけそば」(1200円)一択です。
キノコの一種チタケは割くと牛乳のような白い汁が出るので、漢字では「乳茸」と書きます。ベニタケ科に分類され、国内に広く分布しています。夏から秋にかけて採れ、その独特の白い汁からマツタケを上回る、深いコクと香り高くコクの深いだしが取れると言われています。
そのまま食べてもポサポサしていてあまりおいしくなく、栃木県を中心に先人たちの知恵でだしとして使われるようになったというのが有力のようです。
「ちたけそば」は栃木県だけでなく茨城県西部でも食べられていて、「とりぷれ」エリアのソウルフードと言うことができます。
主役はつけ汁
「ちたけそば」が運ばれてきました。今回の主役、チタケがたっぷり入ったつけ汁は熱々で香りが立っています。つけ汁はチタケを鍋で炒めてからナスを加え、しょう油などで軽く煮込むそうです。
つけ汁にそばをつけてまず一口。濃厚な味です。チタケだけでこれだけのだしが出るのが驚きです。
もちろんそばもおいしいですが、チタケの味が加わることで、さらにおいしく感じられます。箸が止まりません。
おいしさの秘密を伺うと、「チタケを惜しまずたくさん使うこと」と上野さん。この時期は遠方から「ちたけそば」を食べにくる人が多いそうです。
「かやぶき亭」の近くにはきれいなそば畑が広がっていました。新そばももうすぐ食べられそうです。
住所:桜川市大泉1560
電話:0296-76-5727
営業時間:午前11時~午後2時(80食限定・なくなり次第終了)火曜定休
(土・日は混み合うので事前確認か予約をお勧めします)