「とりぷれエリア」には魅力的な山がたくさんあります。今年4月の「筑波連山大縦走」で「茨城とりぷれエリア」の主な低山を登り尽くしたので、いよいよ「栃木とりぷれエリア」の山に登ってみました。
日本三大霊山「岩船山」
最初に登ったのは栃木市にそびえる、日本三大霊山の「岩船山」です。日本三大霊山は富士山、白山、立山を指しますが、岩船山がその一つに数えられることもあります。
風薫る5月上旬に友人3人と登りました。
岩船山は標高172.7メートルの低山ですが、岩肌が露出していて珍しい姿をしています。山頂付近には高勝寺という寺院もあります。

JR両毛線岩舟駅前から望む岩船山
岩船山は良質な安山岩の産地(通称岩舟石)で、岩舟石は江戸時代から建築材として使われてきました。しかし、昭和50年代から需要が減少して採石場は続々と閉鎖され、採石場跡が残る、現在の姿になりました。
岩舟駅の近くには「岩舟石の資料館」があり、岩舟石の歴史を学ぶことができます。

岩舟石の資料館=栃木市岩舟町鷲巣

館内は岩舟石の資料が多数展示されています
さて本題の岩船山登山です。
午前10時20分、山の麓にある高勝寺駐車場に車を止め、スタートしました。

駐車場から続く高勝寺参道
参道を進むと階段が現れます。この階段が天空へ誘うかのように続いています。登っても登っても階段…、一体何段あるのでしょうか。

登山というより階段上りです
10分ほど上ったところに、お地蔵様を祭ったお堂があったので休憩します。

お堂の前には開山と生身地蔵の縁起がありました(詳細は高勝寺のホームページをご覧ください)
日本三大地蔵「高勝寺」
スタートから約20分、長い階段を登り終えると視界の開けた場所に出ました。低山ですが眺望は良好です。美しい風景の中を薫風が吹き抜けていました。

山頂手前の展望台からの眺望
そのまま高勝寺へと進むと、左手に三重塔(栃木県指定文化財)が現れました。建てられたのは江戸時代中期です。近年、改修工事が行われ、新緑を背景に朱色が鮮やかです。三重塔に施された彫刻も見事で、一見の価値があります。

高勝寺三重塔(栃木県指定文化財)
山門をくぐり境内に入ります。境内まで車を乗り入れることもできます。
本尊は地蔵菩薩、日本三大地蔵に数えられる名刹です。死者の霊は岩船山に昇るという信仰があったとされ、江戸時代には岩船地蔵として関東に広まりました。このあたりが日本三大霊山に数えられる理由のようです。

高勝寺本堂
本堂をお参りし、御朱印をいただき、次は山頂を目指します。本堂の裏に階段があり、午前11時ちょうどに山頂に到着しました。

岩船山山頂(標高172.7メートル)付近
ただ山頂は荒れ果ていて、山頂を記した道標も見つかりません。やや残念な気持ちにもなりましたが、石の剣があったので道標の代わりに写真を撮りました。

山頂と思われる場所にあった石の剣
下りは三重塔へ続く道を進みましたが、ぞっとする場所を通りました。
石仏に服がかけらています。先ほども触れましたが、岩船山は霊が昇る山。亡くなった人を忍んでいるのでしょうか。夜はとても歩けません。

服をまとった石仏が何体もありました。
再び長い階段を下りますが、友人が段数を数えたところ約600段あったそうです。
午前11時20分、登山というよりも参拝でしたが、往復で約2キロメートル歩いて駐車場に戻りました。
岩船山は貴重な山
岩船山には数カ所の採石場跡があり、その中に「クリフステージ」と名付けられた、映画のロケやコンサートに使用されているものがあります。

クリフステージから眺める岩船山。左側がV字になっています。
「クリフステージ」に行くと、圧倒的な迫力で岩船山が目の前にそびえ立ちます。尾根が二つに割れているのは、東日本大震災の時に崩れたからだそうです。
日本三大霊山、日本三大地蔵、岩舟石の歴史、そして東日本大震災の傷跡。「とりぷれエリア」の貴重な山であることを改めて知る登山となりました。
ところで、JR両毛線岩舟駅には登山の案内看板があり、岩船山から大平山まで縦走できるコース(約16キロメートル)があることも知り得ました。秋に挑戦しようと思います。

岩舟駅にあった登山の案内看板