桜川市や筑西市の一部の家庭に伝わる「しょーびき餅」 グルメ
桜川市や筑西市の一部の家庭に伝わる「しょーびき餅」

茨城とりぷれエリアのソウルフード、正月の「しょーびき餅」をご存知ですか? 「宝石」の味、ぜひ食べてください



新年明けましておめでとうございます。

輝く初日の出とともに2025(平成7)年、が始まりました。本年もよろしくお願いします。

正月は雑煮? いや違うんです

新年1本目は正月の食べ物です。

正月といえば雑煮。日本各地には多種多様な雑煮があり、その数100種類以上とも言われています。

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しかし、雑煮を食べない家もあります。茨城県のとりぷれエリア、桜川市筑西市では家庭によっては別のものを食べます。

それは…「しょーびき餅」です。「しょーびき」は「塩引き」「塩引きサケ」のことです。

筆者は子どものころから正月に「しょーびき餅」を食べていて、大学生になるまで雑煮を食べたことがありませんでした。

作り方はとても簡単です。塩引きサケと餅を焼いて、ほぐしたサケを餅に挟めば出来上がりです。しょうゆをつけたりノリを巻いたりしない、サケのうまみと塩味で食べるシンプルな餅料理です。

焼いたサケがご飯のおかずの定番であるように、餅とも合わないはずがありません。かぶりつきます。

焼いた塩引き鮭と餅

焼いた塩引きサケと餅

サケを餅に挟んで食べます

サケを餅に挟んで食べます

しかし疑問も残ります。なぜ桜川市や筑西市の一部の家庭だけに「しょーびき餅」が伝わっているのでしょうか?

知り合い? に聞きました

「よお熊さん、明けましておめでとう。やっぱり正月はいいねえ。そして正月といえばおとそと雑煮だ。おめえんちではどんな雑煮を食っているんだい?」

「八っつぁん、うちは雑煮は食わねえよ。昔から『しょーびき餅』だ」

「何だい、その『しょーびき餅』ってえのは」

「塩引きサケと餅を焼いて、餅にサケを挟んで食べるんだ。これがたまらねえほどうめえんだよ」

「そうかい。でもなんでおめえんとこは『しょーびき餅』を食べているんだい?」

「よくは知らねえが佐竹の殿様の正月料理で、佐竹の家臣にうちの先祖が教わったらしいんだ」

「へえ、そいつはありがてえなあ」

「それとサケを漢字で書くと魚偏に『圭』になるだろ。『圭』には宝石という意味があるんだよ。つまりサケは魚の宝石。正月早々縁起がいいじゃあねえか」

「そいつはめでてえ。おれも食べてみてえなあ」

熊「よおし、それならサケと酒。今年もいい年になりそうだ」

佐竹の殿様から広まった?

佐竹氏は現在の茨城県を広範囲に統治した大名です。そして桜川市や筑西市の一部は佐竹氏の家臣に位置付けられた真壁氏が治めました。そうした理由で佐竹氏の正月料理「しょーびき餅」が広まったという説があります。

また、筑西市を流れる五行川(勤行川)はサケが遡上そじょうしてきます。このあたりも関係しているのかもしれません。

茨城県とりぷれエリアの隠れたソウルフード、雑煮に飽きたら簡単に作れる「しょーびき餅」を作り、味わってみてください。

五行川を遡上するサケ(資料写真。筑西市提供)

五行川を遡上するサケ(資料写真。筑西市提供)


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