社長の塚田英樹さんと、大ヒット商品の干し芋=筑西市井上のスーパーツカダ ひと
社長の塚田英樹さんと、大ヒット商品の干し芋=筑西市井上のスーパーツカダ

筑西の「スーパーツカダ」の挑戦 マツコも絶賛!干し芋が大ヒット 楽天市場で1位、ふるさと納税返礼品でも1位に



輝く初日の出とともに令和7年が始まりました。新年に合わせ、NHKのドキュメント番組 「プロジェクトX」のような挑戦者の話を紹介します。

2代目社長に就任、苦悩の日々

茨城県筑西市井上の「スーパーツカダ」。1964(昭和39) 年に開店し、高度経済成長とともに地域のスーパーとして親しまれてきました。

スーパーツカダ=筑西市井上

スーパーツカダ=筑西市井上

しかし、バブル経済崩壊後に景気が低迷し、大手スーパーが近隣に進出してきたことなどよって、元号が平成になった頃から経営は徐々に厳しくなっていきました。

こうした状況の中で、1994(平成6)年、初代の塚田昌宏さんの息子英樹さんは2代目として入社。そして2015(平成27)年、45歳で社長に就任しました。

しかし、英樹さんは「このままではスーパーはだめになる…」と思いながら、日々頭を悩ませていました。

そんなある日、スーパーの売り場であることに気づきました。

「冬になると、人気商品の干し芋が品切れになるのに追加仕入れができない。自分で作ればいつでも売れるのでは…」

そして、スーパーツカダが立地している井上地区が追い風になりました。井上地区は昔からサツマイモの栽培が盛んで、「井上さつま」はブランド芋としてスーパーツカダでも箱売りされていました。

昔からスーパーツカダで箱売りされている「井上さつま」

昔からスーパーツカダで箱売りされている「井上さつま」

「地元の産物を生かしてスーパーを立て直しできないか…」。英樹さんと「スーパーツカダ」の挑戦がスタートしました。

立地が追い風

2017(平成29)年12月、48歳になった英樹さんはに近くの空き工場を手に入れ、干し芋の生産を始めました。

干しいもの工場=筑西市野殿

干し芋の工場=筑西市野殿

「最初の3年間は試行錯誤の連続でした。それでも一緒に頑張ってくれる社員たちに支えられて少しずつ売り上げが伸び、2022(令和4)年から3年連続で筑西市のふるさと納税で返礼品1位になりました」と、英樹さんはうれしそうに話します。

通販オンラインショッピングモールの楽天市場でも干しいもランキング1位を獲得するなど、その躍進には目を見張るものがあります。

楽天市場の干し芋ランキングで1位になったときに英樹さんの娘さんが作ったポップ。150グラム700円とありますが、企業努力で現在は180グラム648円に値下げされています

楽天市場の干し芋ランキングで1位になったときに英樹さんの娘さんが作ったポップ。150グラム700円とありますが、企業努力で現在は180グラム648円に値下げされています

干し芋の工場を見学させていただきました。

蒸したサツマイモの皮をむき、スライスした芋を並べて、冷風乾燥機で2日ほど乾かすと完成です。多くは手作業。手間暇かけ、丁寧に、心を込めて作っています。

蒸したサツマイモの皮をむきます

蒸したサツマイモの皮をむきます

スライスした芋を1枚1枚並べます

スライスした芋を1枚1枚並べます

冷風乾燥機で2日間乾かします

冷風乾燥機で2日間乾かします

一枚試食させていただきましたが、しっとりと柔らかく、蜂蜜のような甘さが感じられました。

県外からも多くの人が

工場見学後、干し芋を販売している店内へ。店の前には干し芋をPRする看板もありました。

スーパーツカダの前に立つ看板

スーパーツカダの前に立つ看板

販売コーナーに行くと、朝はたくさんあった干し芋は既に半分になっていました。

マツコ・デラックスさんが司会を務めるトークバラエティー番組「マツコの知らない世界」で紹介されたこともあり、「わざわざご来店くださる方も増えました」と英樹さん。

「マスメディアの効果は大きいですね」と話す塚田英樹社長

「マスメディアの効果は大きいですね」と話す塚田英樹社長

干し芋が起爆剤となって「スーパーツカダ」は活気あふれる店となり、英樹さんは70人を雇用する経営者にもなっていました。

バラエティーに富む総菜

ところでスーパーツカダにはもう一つ人気商品があります。総菜です。

経験豊かな女性従業員の皆さんが、一つ一つ手作りしています。その種類の多さにびっくりさせられました。

和・洋・中とバラエティーに富む総菜

和・洋・中とバラエティーに富む総菜

お薦めを伺うと「全部おいしいですよ。今はイモフライかしら」と笑顔で教えてくれました。笑顔と活気のある職場です。楽しく働いているようすが伝わりました。

最後に野菜売り場担当の方に話を伺いました。

「ここに勤めて45年、先代も今の社長も従業員を大切にしてくれる。これからもお客さんのために頑張りたい」と目を細めながら話してくれました。

新鮮でおいしい野菜や果物を箱売りで買えるのが「ツカダ」の魅力と教えてくれました

新鮮でおいしい野菜や果物を箱売りで買えるのが「ツカダ」の魅力と教えてくれました

いろいろな食べ方を試す

帰宅して干し芋を食べてみます。

袋の裏側にいろいろな食べ方が書いてありました。電子レンジやトースターで温める、バターソテーや天ぷら、バニラアイスやマヨネーズをのせるーなど。天ぷら以外は簡単にできるので試してみました。

そのまま食べてもおいしいですが、いろいろと「味変」も楽しめます

そのまま食べてもおいしいですが、いろいろと「味変」も楽しめます

どの食べ方もおいしいのですが、電子レンジやトースターで温めると一段と柔らかくなり、甘みも増します。

個人的にはバターソテーが気に入りました。とろけるような食感になり、さらにバターの風味が加わって後を引きます。

おいしく干し芋を食べていると英樹さんの姿が浮かんできました。

英樹さんの挑戦はまだ道の途中、次の展開も考えているようです。いろいろと話を伺っているうちに筆者も新たなことに挑戦したくなりました。

スーパーツカダ(塚田商店)
住所:茨城県筑西市黒子201
電話:0296-37-6802
営業時間:午前9時半~午後8時(無休・1月1日のみお休み)
ホームページ:こちら

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