足利市
鑁阿寺境内で豆をまく鎧武者姿の参加者=2023年2月3日(下野新聞)

足利市伝統の節分行事はパワースポット? 300人超の鎧武者が勢ぞろいする圧巻の戦国絵巻



2月3日は節分です。栃木県足利市で毎年、節分の夜に行われる伝統行事をご存じでしょうか。坂東武者に扮した数百人が大通りを勇壮に歩く「節分鎧年越」。その魅力を、主催団体の立春会会長で足利市観光協会副会長でもある田野勝己さんにお聞きしました。

壮大な戦国絵巻をこの目で

鎧年越は鎌倉時代中期、春の節分に行われたとされる故事が由来の行事です。

足利市を代表する名所のひとつ「鑁阿寺」を建てた足利義兼の孫、泰氏が一族の結束と勢力を誇示するため、坂東武者を鑁阿寺南大門に勢ぞろいさせました。その数は500騎。全員で勝ち鬨を上げて、士気を高めたそうです。

明治維新以降は一時途絶えた鎧年越ですが、大正4(1915)年に市内の繊維業者を中心に復活しまました。以後、足利市を代表する春のお祭りとして受け継がれ、今年で93回を数えます。

今年は例年より多い360人が武者行列に参加するそうで、地元も盛り上がっています。

田野さんは「足利尊氏をはじめとする足利氏発祥の地の足利市。その歴史の深さを、身をもって感じられる壮大な戦国絵巻が鎧年越なのです」と話します。

1時間かけて大通りを練り歩く

武者行列は織姫公民館を午後5時に出発。鑁阿寺までの約1.3kmを約1時間かけて勇壮に練り歩きます。

「沿道では八木節や太鼓、まつり囃子などが武者の一群をお迎えします。華やかな雰囲気の大通りで見るのも楽しいですよ」と田野さん。

主な通過予想時間(先頭)は以下の通りです。

  • 織姫公民館 17:00
  • 友愛会館 17:20
  • 通2丁目交差点 17:30
  • 足利まちなか遊学館前 17:40
  • 足利学校前 17:43

田野さんによると、今年の目玉はなんと「織田信長」。足利市と包括連携協定を結ぶゲームソフトメーカー「コーエーテクモホールディングス」が信長の甲冑をデザインして、実現しました。時空を超えて、鎌倉時代の武者行列に加わる信長にも注目です。

湧き上がるパワーと熱気

午後6時頃には、行列の先頭が鑁阿寺に到着します。暗くなった境内は、かがり火がゆらめき、幻想的な雰囲気に包まれます。

鑁阿寺=2023年12月(下野新聞SOON)

主将である市長が「願文」を奉読し、足利氏代々の供養と市の繁栄を祈願します。さらに「福は内、鬼は外」の発声で、本堂回廊から武者一同が追儺式(豆まき)が始まります。

追儺式が終わると、本堂の裏で凱旋の陣を行います。「エイ、エイ、オー」と3回、力強く勝ち鬨を上げて、今年一年の無病息災を願います。

国宝である本堂から一斉に豆がまかれ、武者たちの野太い掛け声が響くさまは圧巻とのこと。「全国でもこのような行事はなかなかありません。その場にいるだけで、湧き上がるパワーと熱気を感じてもらえるのではないでしょうか」。

余裕をもって現地に着くのが◎

今年の節分は土曜日。開始時間も午後5時からと遅くないため、家族連れでも参加しやすい日程です。

鑁阿寺はJR足利駅、東武足利市駅から徒歩圏内にあり、電車でのアクセスが便利です。近隣には駐車場もあるので、車で来場する場合は、交通ルールに従って駐車しましょう。

大通り(県道桐生岩舟線)と大日大門通りは行列に合わせて通行止めとなります。余裕をもって来場して、大通りや鑁阿寺、足利学校周辺のお店を巡ってみてはいかがですか。


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