栃木県佐野市の唐澤山神社では、あじさいが見頃となるこの時期、手水舎をあじさいの花で彩る「花手水」で参拝客をもてなしています。色彩豊かで美しい画像を「Instagramで見たことがある!」という人もいるのでは。今月中に見納めになる可能性もあると聞き、急いで足を運んでみました。
山頂の澄んだ空気と自然
唐澤山神社はその名の通り、唐沢山(標高242m)の山頂にある神社です。唐沢山城本丸跡に創建され、平将門の乱を鎮圧し「むかで退治」伝説でも知られる藤原秀郷を祀っています。
佐野駅からは車で20分ほど。田沼地区側と犬伏地区側にそれぞれ道路がつながっていて、車で上っていくと、眼下には佐野の街並みが広がってきます。
唐沢山レストハウスの前にある駐車場に降り立てば、澄んだ空気と豊かな自然を身をもって感じられます。本殿(本丸)まで続く参道を歩いていると、さっきまでいた市街地から一変、異世界へ入っていくような感覚にとらわれます。
花手水の息をのむ美しさ
お目当ての手水舎は、本殿の石段の手前にあります。佐野市が誇る伝統工芸「天明鋳物」の水盤にはたっぷりと水が張られ、その上にあじさいが飾り付けられています。
近づいてのぞき込んでみると…息をのむ美しさです。紫、青、白、ピンクといった色とりどりの花がつくる濃淡のコントラストは、もはやアートのよう。
あじさいの花は水に浸けると傷んでしまうので、神社では毎朝、様子を見ながら花を取り替えています。花手水の美しさの秘訣は「同じ色ばかりが固まらないように並べています」とのこと。
近年では目にすることも多くなった花手水ですが、唐澤山神社では「気分が沈みがちな梅雨に少しでも癒やされてほしい」との思いで6年前から始めました。
境内にはあじさいが少ないため、地域の方に花を持ち寄ってもらっています。花手水のためにあじさいを育ててくれている方もいるそうで、いろんな人に支えられて、この時季の新たな名物となっています。
花手水は6月末までの予定ですが、花の状態によっては早めの終了もあるとのこと。ぜひ見たい!という方は早めに参拝しましょう。
ちなみに、花手水は「はなちょうず」または「はなてみず」、手水舎は「ちょうずしゃ」または「てみずしゃ」と複数の読み方があります。唐澤山神社ではそれぞれ「はなてみず」、「てみずしゃ」と呼んでいます。
撮影用の♡型ブーケまで
唐澤山神社はInstagramの公式アカウント(@karasawayama_shrine)に投稿される、季節の花や自然の画像がきれいなことでも知られています。なんとフォロワー数は1.2万人!若い世代の参拝客も増えているそうです。
手水舎には、撮影用としてハート型のあじさいブーケも置かれています。思い出に残る写真を撮ってほしいという参拝客への心遣いがうれしいですよね。
すぐ近くの社務所では、6月限定のあじさい柄の御朱印を頒布しています(1枚500円~)。あじさい柄の御朱印には雨の日限定で、虹と金のカタツムリ、カエルを添えてくれるとのこと。外出がおっくうになる梅雨の季節ですが、ささやかな楽しみがあると、傘を持って外出したくなりますね。