※11月2日(土)に茨城県土浦市で開催予定の「第93回土浦全国花火競技大会」は、台風21号の影響による雨、さらには雲も高度が低いという予報が出され、中止が決定しました。11月3日(日)または9日(土)への延期につきましても、警備員の確保が難しいことなどから、中止となりました。「第93回土浦全国花火競技大会」(大会公式ホームページ)
「ただ今の標準玉の点数は○○点です。ただ今の点数を基準に、競技審査を進めてまいります」。花火作品を採点し順位を決める土浦全国花火競技大会(茨城県土浦市)の幕開けです。
第93回土浦全国花火競技大会が11月2日(土)、茨城県土浦市の桜川畔で開催されます。
審査標準玉の製造、筒の設置と発射
茨城県筑西市で唯一の煙火(花火)業者、森煙火工場(筑西市竹垣)は毎大会、採点の基準となる「審査標準玉」の製造、10号玉の部と創造花火の部の筒の設置や発射を担当しています。土浦の打ち上げ現場を知り尽くした森武社長は、大会運営に欠かせない存在です。
もともと、土浦の花火を長年けん引し発展させてきた土浦火工が筒の設置や発射を担当していましたが、1991(平成3)年に解散してしまい、それを継いだのが森煙火工場です。
大会準備は開催3日前、まず筒の設置から始まります。当日の打ち上げ筒への玉入れは①参加業者が現場に持参し自身で筒入れを行う②持参するが筒入れは森煙火工場が行う③事前に森煙火工場にトラック便で送り、当日に森煙火工場に筒入れしてもらう(代打ち)―があります。
10号玉の部と創造花火の部の発射は森煙火工場が担い、電気点火器で遠隔点火します。スターマインの部は筒の設置・発射の作業ともに参加業者が行います。
80点の玉を作れ!
「80点の審査標準玉を作れ」。森煙火工場を創業した森さんの父・清さん(2003年死去)から武さんが引き継いだメッセージです。80点といえば一般的に「優良」と評価されますが、審査委員長の採点は75点前後と発表されることが多く、少しでも100点との隙間が窮屈にならないようにとの審査上の配慮・テクニックです。決して審査標準玉の出来と一致しているわけではありません。
標準玉の構造は、一昨年までは3つの円を描く八重芯菊でしたが、出品作品の技術向上に伴い、より高技術の三重芯菊に昨年変更されました。玉名は「昇曲導付三重芯錦先青銀乱」。三重芯菊は森煙火の十八番ですので、標準玉の段階から見事な花火を見ることができます。
冠菊こだわり、五重芯チャレンジへ
武さんが今大会出品する作品は、「昇曲導付四重芯錦冠菊点滅群声」。地上付近まで垂れ落ちる冠菊は、多くの観客が楽しんでくれるのでこだわりがあるそうです。多重芯についても、「2年前から四重芯に挑戦しているが、今回の出来を見て五重芯に挑戦したい」と豊富を語ってくれました。
輝かしい受賞歴
森煙火工場は、1968(昭和43)年に清さんが創業し、武さんが2代目を継ぎました。土浦では、現在の内閣総理大臣賞に相当する通商産業大臣賞を3回受賞、スターマインの部3回(速射連発の部1回を含む)、10号玉の部2回優勝など輝かしい成績を残しています。現在は、武さんとご家族で花火を製造し、知り合いの応援を得て打ち上げています。
今年10月19日(土)に開催された「第3回ちくせい花火大会」では、野村花火工業(水戸市)や山﨑煙火製造所(つくば市)と肩を並べて、得意の10号玉やミュージックスターマインを披露しました。大会前には、筑西が誇る花火師として地元ケーブルテレビに出演し、花火の製造工程などを説明しました。
最後まで気を抜かず
一歩間違うと取り返しのつかない状況に陥る、死と隣り合わせの打ち上げ現場では、最後まで気を抜くことはできません。「競技も大事ですが安全はもっと大事」と森さんは気を引き締めまていました。
開催日時:2024年11月2日(土)午後5時半~同8時(荒天延期)
会場:茨城県土浦市桜川畔(学園大橋付近)
ホームページ:https://www.tsuchiura-hanabi.jp/