茨城県筑西市の「しもだて美術館」は、2003年11月に開館しました。JR下館駅から徒歩8分ほどの場所の、しもだて地域交流センター「アルテリオ」3階にあり、昨年開館20周年を迎えました。外壁は随所にガラスが使われており、館内は開放感にあふれています。設計は日本藝術院会員・池原義郎(1928~2017年)によるものです。(以下記事中敬称は略させていただきます)
日本一の神輿がお出迎え!
館内に入ると、1階には立派な神輿が展示されています。いずれも毎年7月に同市で開かれる「下館祇園まつり」で使われています。
1895年に日清戦争の戦勝記念して造られた「明治神輿」は、重さ1トン。日章旗や軍艦旗の彫り物が特徴的です。2010年に大修復が行われ、往時の姿を取り戻しました。
1992年に造られた「平成神輿」は重さ2トンあり、毎年担がれる神輿としては国内最大級といわれています。
1977年に造られた「女子神輿」は女性のみで担がれ、優雅な姿を見せてくれます。
カフェも併設されています。学生は飲み物半額というのぼりが! 静かな環境で勉強が進むこと間違いなしです。
いよいよ入館です!
ガラス張りのエレベーターで3階に上がります。入場券は3階の受付で購入します。
館内の展示室は4つに分かれており、第Ⅰ展示室では、同市が誇る文化勲章受章作家、陶芸家・板谷波山(1872~1963年)と、同じく洋画家・森田茂(1907~2009年)の2人の作品のほか、書家・浅香鉄心(1926~1997年)、漆芸家で人間国宝の大西勲(1944年~)ら、同館が収集・保管している同市ゆかりの作家の作品が展示されています。
他の展示室では、企画展が行われます。現在は3月10日まで、企画展「開館20周年記念 早川義孝 色彩のシンフォニー」(筑西市、同市教育委員会主催)が開催されていました。
早川義孝(1936~2012年)は、東京都出身の洋画家です。幻想的な心象風景の描写が高く評価されています。 2007年、同館で企画展を開いたのを機に同市内を巡り、風景画に自ら詠んだ詩を添えた「筑西八景連作」を制作しました。没後、遺族から73点の作品が同館に寄贈され、今回初めて公開されました。
企画展では、86点を展示。早川はシンドバッドの船、サーカス、灯台、教会、魚、鳥、蝶などをモチーフとすることが多いそうです。力強く色鮮やかな筆致の中に、細かで詩的な描写を織り交ぜた作品を間近に見ることができます。
これまでの企画展のポスターもずらり
展示室を出た廊下の壁には、これまで同館で開催された企画展のポスターが展示されていました。同市にゆかりのある作家に加えて、先日亡くなった八代亜紀、一昨年亡くなった漫画家の松本零士や、イラストレーターとしても活躍している江口寿史、わたせせいぞうの企画展も行われました。洋画、日本画、陶芸などとともにポップな企画も開催していることが、大きな特徴です。
筑西市の街中で、どっぷりと美術作品に浸かることができます。伝統的な絵画から現代のポップアートまで、さまざまな企画展が開かれる同館に、ぜひ足を運んでみてください!
住所:茨城県筑西市丙372
電話:0296-23-1601
開館時間:10:00~18:00 (入館は17:30まで)
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始
※その他、展示替えなどのため休館となる場合があります
入館料:企画展ごとに異なります。「早川義孝展」は500円
所蔵品展は、しもだて美術館のみ210円、板谷波山記念館共通入館券が310円
いずれも高校生以下無料
ホームページ:https://www.city.chikusei.lg.jp/page/dir004549.html