少しずつ春の足音が聞こえてくる季節となりました。年頃の子どもを持つ親御さんは、幼稚園の入園も近づいてきていますよね。
幼稚園の期間は、小学校入学までに集団生活を学ぶ大切な時期。でも、幼稚園ってどうやって選べばいいの? 幼稚園について悩みや不安を持つご家庭もあるのでは。
ならば幼稚園のことは幼稚園の方に聞いてしまおうと、学校法人鮎澤学園富士見幼稚園(茨城県結城市結城)の鮎澤伊江園長と、鮎澤倖生先生に、疑問点にお答えいただきました。
同園は1977年創立の私立幼稚園です。親と子と先生が共に学ぶことを目指し、自然豊かな環境の中でのびのびと子どもたちが過ごしています。現在、外国人や障害のある子どもも含め、52人の園児が在籍しています。
不安その1 どうやって自分の子に合った幼稚園を選べばいいの?
まず、候補の幼稚園を親子一緒に見学し、見学中の子どもの様子、表情や意志をよく観察することが大切です。気に入った園があれば子どもは自然と溶け込みます。
子どもに合うということは、家族に合うということです。両親・家族は子どもを見守ることが大切です。
園には創設者の教育理念があります。教育課程もあります。優先度の高い項目に「家から近い」など物理的な条件もあるとは思いますが、幼児期は人格を形成する重要な時期なので、その数年間の生活の基礎をつくる大事な環境の一つとして、ぜひ複数の園を見学し、教育観のある、子どもも親も納得する園を選んでもらえればと思います。
不安その2 通園初期に、親と離れるのがイヤで泣いてしまうかも…
親の教育がしっかりしていれば、子どもも園のことを信頼します。成長がゆっくりならば、入園時に園でしっかりと受け入れられるか確認することも重要です。
多くの場合3~4日ほどで、クラス内で泣く子はいなくなります。しかし親が心配症でいつまでも登園時に園にいると、親の心配が子どもにも伝わることもあります。その場合、多少無理でも親から子を離し、教室内での自立を促すこともあります。
一番年次の低い学年で兄弟がいない、新入園者がばかりだと、クラスが落ち着くまでに2週間くらいかかる場合もあります。
不安その3 通園中に子どもが急に体調を崩したときが心配です
既往症などの場合は、入園前にご両親から聞き取りをします。園で体調を崩したときは、物理的、病的、精神的、けがの種類によって対応も変わります。そのため、先生は日々子どもを観察しており、体温を測る、痛む場所を聞く、原因を当人や周りの子に聞くなど、早め早めに措置を取ります。朝のお迎えの時にもチェックしています。
また、体調というのは物理的な要因だけでなく精神的な要因もあります。例えば、両親に不安がある時、寝不足の時、朝から親子喧嘩や両親の不仲を見聞きした時でも子どもは体調を崩します。この点は親御さんにも重々理解して未然に防いでほしいと願います。
不安その4 仕事の都合でお迎えが間に合わない! どうしよう…
まず幼稚園に連絡して、どのくらい遅れるか教えてください。親御さんも焦っている状況なので、安全運転で来てくださいとお伝えします。
また、子どもも不安に思うので、お迎えが遅れる、と伝えます。ご両親にけがや事故事件などがあった場合は、その子に合わせて話し方を変えて説明します。
不安その5 これまでと大きく生活のリズムが変わるけど、生活のリズムを整えられるかな…
「早寝早起き朝ごはん」が何よりも大切です。ご家族も一週間を通じて子どもの生活リズムを崩さず、ゆとりをもった生活を心がけましょう。子どもの基礎をつくるのは、睡眠と栄養なのです。
両親がお手本として、規則正しい生活をすることも大切です。親が寝坊しているのに子どもを急かすことは禁物です。
夫婦げんかの後だと、子どもは園に来ても「仲直りしたかな」と心配します。夫婦で手を上げたり、物を投げたりすると、子どもの心に一生残ってしまいます。
不安その6 子どもがお弁当や給食をちゃんと食べられるかしら…
お弁当は、子どものため、と初めは多めに作りがちなので、注意が必要です。子どもの食べる量を知り、必要に応じて量を調整しましょう。食べる量を守ることも大切です。子どもの様子を見て、子どもにどのくらい食べられるか確認しながら、その時々に言葉がけを行っています。
嫌いな野菜ばかり入れると全部食べられず、子どもの自己肯定感も下がります。
また目先の好き嫌いだけでなく、食事をする環境も子どもたちの食欲に大きく影響します。幼稚園で思いっきり遊んで、お腹が空いたら友だちと同じテーブルを囲むと、自然と子どもたちはごはんを食べます。そうやって徐々に苦手を克服できるのです。先生も子どもを観察し、それを見守ります。
不安その7 他の子とうまく友だちになれるか心配…
一人っ子でも、体験入園などを経験している子が多いので、入園後すぐに園内のおもちゃや教材を手に取って遊び始めます。園としても、この時期はおもちゃを多めに用意します。
また発達が少し遅れていたり、物を黙って取る子もいますが、先生の声掛けで「入れて」とあいさつし、貸し借りできるようになります。
新学期どのように子どもが友だちを作るか見ていますが、一緒に絵を描く、粘土を持ってきて隣に座る、一緒にトイレに行く、お弁当を一緒に食べる、バスの中で一緒に座るなどの活動で、自然と仲良くなります。
子どもたちには柔軟性があるので、まずは幼稚園を「楽しい!」と思ってもらうことが大切です。
最初は不安がつきものですが、幼児期は年齢的にも環境的にも幼稚園が楽しい!となる時期でもあるので、子ども一人一人のペースを見ながら、先生も子どもに合った対応をするように常に心掛けています。
他にもいろいろな不安があるかと思います。大切なのは、幼稚園選びは家族みんなの問題だということ。「幼稚園選びは母親に任せきりにしないで、父親も絶対に関わってください」。鮎澤園長の言葉が、深く心に刺さりました。
お二人とも、長時間の取材にご協力いただき、ありがとうござました!
幼稚園の見学は、各自治体で実施時期や申し込み方法などが異なります。気になる幼稚園のホームページなどをこまめにチェックして、情報を集めましょう。
学校法人鮎澤学園富士見幼稚園
住所:茨城県結城市結城10584
電話:0296-32-6464
ホームページ:https://sites.google.com/view/fujimi/home