文化庁の「100年フード」に、茨城県古河市の郷土料理で名産品の「鮒甘露煮」が認定されました。「江戸時代から続く郷土の料理部門(伝統)」で、県内初認定となりました。認定披露式が4月19日、古河市役所古河庁舎で開かれ、古河鮒甘露煮組合の関係者らは「地域一体でさらに盛り上げたい」と喜びをかみしめていました。
古河市の鮒甘露煮は大ぶりで、尾頭付きの縁起物として祝い事や土産物に人気です。江戸時代から宿場町として栄えたこの地域では、伝統的な製法と味が受け継がれており、市のふるさと納税の返礼品にもなっています。
素焼きしたフナは、水と砂糖だけで約8時間じっくり煮込まれ、しょうゆなどを加えてさらに約2時間煮詰めると、鮮やかな琥珀色に染まります。骨までやわらかいので余す所なく食べられ、正月料理や贈答用としても全国から注文が入ります。
鮒甘露煮は「古河ブランド」認定商品でもあり、古河の伝統料理の継承と振興に向け、市内で専門学校などを運営する晃陽学園の斎藤行信理事長が発起人となり、市が2023年に申請しました。
認定披露式には、針谷力市長、組合加盟の4店の代表、斎藤理事長、古河商工会議所の蓮見公男会頭らが出席しました。針谷市長は「料理に込めた思いに敬意を表する。市としてもブランド価値の創造に努めていきたい」とあいさつ。古河鮒甘露煮組合長で野村甘露煮店の野村則之社長は「100年フードの名に恥じぬよう、この伝統を守っていければ」と意欲を語りました。
文化庁の「100年フード」は、日本国内の多様な食文化の継承・振興への機運を醸成するため、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を、100年続く食文化「100年フード」と名付け、継承していくことを目指す取り組みです。2021年度から始まり、これまでに250件の食文化が認定されました。
今回、鮒甘露煮が選ばれた伝統部門のほか、「明治・大正に生み出された食文化(近代)」「目指せ、100年!(未来)」の3部門があります。茨城県内からはこれまで、「干しいも(近代)」、「牛久ワイン(近代)」、「笠間の栗菓子文化(未来)」が認定されています。また、栃木県では「しもつかれ(伝統)」、「宇都宮餃子(未来)」、群馬県では「焼きまんじゅう(伝統)」「桐生うどん(伝統)」「嬬恋くろこ(伝統)」「群馬のソースカツ丼(近代)」が認定されています。
全国各地の100年フード:https://www.drivenippon.com/foodculture/