新緑がまぶしい筑波連山の一つ、茨城県桜川市の燕山(標高701メートル)の山中に、古民家を改装した「いきいき里山 友蕎庵」はあります。3日前までの完全予約制(4人以上)のお店です。
庵主の飯村泰雄さん(75)がうつのは、そば粉100%の十割そば。その日使う分だけ石臼でひく粉には、茨城県が誇る「常陸秋そば」をメインに、群馬県産の「赤城深山そば」を7月から10月ごろまで使用しています。
飯村さんは元茨城県警察官。白バイ隊員や所轄署の鑑識、刑事など幅広く経験しました。50歳のころに趣味でそばうちを始め、講習会に参加したり名店・人気店を食べ歩いたりして、基本的には独学で腕と舌を鍛えました。退職後の2012年に開業すると口コミが広がって、今や人気の店になりました。
「ひきたて、うちたて、ゆでたて」の三たてにこだわり、品書きも「ざるそば」(800円)、季節の野菜や山菜が供される「天ざる」(1500円)と、天ざるに卵焼きと煮物、コーヒーがつく「お任せセット」(2000円、いずれも税込み)の3種類とシンプルです。
飯村さんのそばうちを見せていただきました。
粉は「常陸秋そば」。丁寧にふるいにかけてそば殻などを取り除き、燕山の花こう岩から染み出る湧き水を少しずつ加えてこねていきます。「難しいのは水加減」と飯村さん。この日は小雨がぱらつき湿度がやや高めだったことを考慮して、水の量を決めていきます。
めん棒を使い分けながら生地を四角く均等な厚さに伸ばし、折り畳んで切っていきます。飯村さんは「マッチ棒の太さ(細さ)」を基準にしているそうです。
さっとゆで上げられたそばは、香り高く、こしがあり、濃いめのつゆが合います。歯切れ、のど越しも極上で、交通が多少不便な所でも予約して行く価値のある味です。
飯村さんは「体力的にしんどい時もありますが、できる限り頑張って、人の輪を広げていきたい」と話しています。ハイキングやバーベキュー、落語会なども企画しており、参加を募っています。
所在地:茨城県桜川市大曽根1540
営業時間:午前11時~午後2時(4人以上、3日前までの完全予約制)
電話:090-1118-9795