茨城県古河市出身の歴史小説家で名誉市民の永井路子さん(1925~2023年)の生誕100年を記念する企画展が同市中央町の古河文学館で開かれています。12月23日まで。展示終了後、文化・観光交流協定を結ぶ神奈川県鎌倉市に巡回します。
永井さんは現在の東京都文京区生まれ。3歳で古河市に移り、結婚するまでの約20年間を過ごしました。大手出版社の小学館に勤めていた1952年、週刊誌「サンデー毎日」の懸賞小説に入選。65年に鎌倉幕府草創期の権力闘争を描いた「炎環」で直木賞を受賞しました。

2009年10月に古河文学館で講演した永井路子さん=同館提供
小説「北条政子」「氷輪」やエッセー「歴史をさわがせた女たち」など多くの著作があり、独自の歴史観は歴史学界からも評価されました。作品はNHK大河ドラマ「草燃える」(79年)や「毛利元就」(97年)の原作にもなりました。
主要作品の舞台となった鎌倉市に約40年近く暮らし、同市の名誉市民の称号を贈られています。
今回の企画展では、永井さんの自筆原稿をはじめ、取材写真などの執筆資料、さらには父の八郎治さんが書いた命名書や、叔父で旧古河町長の三郎さんが書き記した成長記録など、同館の所蔵品を中心に展示しています。

永井路子さんの自筆原稿。連作短編の形で書かれた「炎環」の一つ「いもうと」の原稿の一部(古河文学館提供)
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叔父の三郎が書きとめた成長記録(古河文学館提供)
古河文学館の秋沢正之館長は「永井さんの生涯をたどりながら作品や世界観、人間的な魅力を知ってもらえたら」と話しています。
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直木賞の副賞、腕時計(古河文学館提供)
期間中、11月2日(日)に秋沢館長や永井さんの妹の石井哀草果さん、鎌倉市芸術文化振興財団学芸員の井上弘子さんの鼎談、22日(土)には学芸員のギャラリートークなど関連イベントが予定されています。

生誕100年永井路子展のチラシ
入館料は一般200円、小中高生50円。問い合わせは同文学館☎0280(21)1129。
鎌倉展の会場は鎌倉芸術館(鎌倉市大船)。会期は来年2月21日から3月22日まで。
会期:2025年12月23日(火)まで※月曜休館(祝日の場合は翌日)、11月28日(金)
会場:古河文学館(茨城県古河市中央町3-10-21)
開館時間:午前10時~午後5時※入館は午後4時半まで
入館料:一般200円、小中高生50円
電話:0280-21-1129
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