自称パンマニアの友人から、おいしいコッペパンの店があると教えてもらい、おなかを空かせて向かった先は、茨城県古河市本町の「美よしの」。取材に伺った日は水曜の午前9時半でしたが、平日にもかかわらずお客さんがひっきりなしに来店していました。自動ドアが開くたびに、香ばしいパンの香りが店の外にまで漂ってきます。
中に入るとずらりと並ぶ総菜パンに一気に心を奪われ、おなかの虫が鳴き出しました。店内にはオーダーシートとそれに記入する台が備え付けられており、商品を選んで書き込みます。
どれにしようか悩みましたが、まずは看板メニューの「こっぺパン」の中でも特に人気が高いという「ジャムマーガリン」と、カレー味のコロッケパン、キャベツ入りミートコロッケを注文しました。
「こっぺパン」は、注文を受けてからお客さまの前で作るということで、お店のご厚意でカウンターの中で取材させていただきました。20センチ近く(以上!?)あるパンに、マーガリンとイチゴジャムがたっぷり塗られていきます。調理する店員さんの仕事が速く、職人と呼ぶにふさわしい手際の良さから、おなかの虫がさらに騒ぎ立てます。
早速店を出て車に戻り、待ちきれずその場でいただきました。ずっしり思い「こっぺパン」に、大きく口を開けてがぶり! パン生地は見た目よりふわっと、もちっとしていて軽めの食感です。ジャムはイチゴの自然な甘さが爽やかで、程よく塩味が効いて滑らかなマーガリンとの相性も抜群です。かめばかむほどそれぞれの味が口の中で絡み合い溶け合って、後を引くおいしさ。ものの3分で完食してしまいました。
甘い「こっぺパン」の後は、ミートコロッケです。ソースは適量、パン本来の食感が楽しめるのもうれしいポイントです。ややワイルドに刻まれたキャベツとコロッケのボリューム感も絶妙なバランスで、こちらもあっという間においしくいただきました。
先代の味、受け継ぐ
初代は1907(明治40)年ごろ、修業先からのれん分けさせてもらい東京・本郷で和菓子屋を創業。「美よし乃菓子店」と命名したそうです。その後2代目が1943(昭和18)年に疎開先の古河市で開業し、東京のベーカリーで修業を重ねた3代目が「こっぺパン」の販売を始めました。そして現在、店を切り盛りするのが4代目の鈴木一彦さん(62)、ひとみさん(62)夫妻です。
看板商品の「こっぺパン」は、先代から受け継いだ味。平日は500個、週末は700~800個焼き上げるそうです。「その日の気温や天候に合わせて少しずつ材料の配合や加える水の温度などを調整しています」と一彦さん。「こっぺパン」は定番の「ジャムマーガリン」「あんマーガリン」「ピーナツマーガリン」が人気で、ジャムもあんこも同店オリジナルのレシピで作ったものを使用しているそうです。
「こっぺパン」とともに二枚看板のコロッケパンも、70年間変わらない味を提供し続けています。そんな同店の味を求めて県外から足を運ぶお客さんも多く、週末の朝は7時過ぎから行列ができることもあるそうです。
5月下旬から季節限定の「レモンクリーム」の「こっぺパン」が登場するそうなので、こちらもぜひ試してみたいと思います。
所在地:茨城県古河市本町3-2-17
営業時間:午前6時半~売り切れまで
定休日:月・火曜(GW期間中は定休日以外通常営業)
電話番号:0280(32)0748
ホームページ:koppepanmiyoshino.com