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カレーにすればだいたいイケる!? 栃木市のとちぎ花センターで「雑草たべてみた展」21食分のレシピ誕生までの舞台側



栃木県栃木市のとちぎ花センターで企画展「雑草たべてみた展」が開催されています。雑草を、食べてみた、なんで!?実際にスタッフが試食して、1週間×3食分のレシピまで考案したという渾身の内容です。どんな舞台裏があったのか聞いてみました。

雑草は「食べられます」

ユニークな企画展が多いとちぎ花センターですが、ひときわインパクトが強いのが、この「雑草たべてみた展」です。公式X(@Tochihana_jp)の投稿を目にして、なぜそんなことを…と心をくすぐられました。

いざ「雑草たべてみた展」へ

とちぎ花センターでは数年前に「雑草展」を開催しました。たくさんの種類を紹介する中で「食べられる/食べられない/毒がある」を分類したところ、特に女性から「食べられる雑草ってあるんですね」という反応があったといいます。

展示担当の永島安紀さんは前回の企画展以来、雑草に愛着が湧いてきたそう。「同じ植物なのに、野菜などと違ってすぐに除草剤をまかれてしまう。困ったときは食べられるし、存在を見直してほしいという思いがありました」

自分に合った?雑草を判定できるチャート

無料でどこにも大量に生えている雑草の食べ方を「食糧難に備えて知っておこう」というのもテーマのひとつ。できるだけ美味しく食べられるよう、永島さんをはじめとする花センターの「自称カリスマ主婦」の3人が立ち上がりました。

一番美味しかった雑草は

とはいえ、それは大変な苦労の連続でした。

花センター敷地内や自宅に生えた雑草を摘んでは、ゆでて試食、調理して試食…。3~5月の3カ月間はそんな日々が続き、自宅の食卓に雑草料理が並ぶこともあったそうです。

雑草レシピを紹介する永島さん

ゆでただけの段階で美味しいというのは「めったにない」そうですが、例外だったのがスベリヒユ。野菜として食べる地域もあるほどで、レシピでは中華炒めにしましたが「お店で出せるレベル」の味だったといいます。

1週間の献立表です

一方で、センダングサやオオバコはとても苦みが強く、どうしたら食べやすくなるのか悪戦苦闘しました。最終的に選んだのは、カレー。

「カレーに入れれば、たいがいのものはイケました。カレー最強です」。キムチ鍋、青椒肉絲、さらには天ぷらも、クセのある雑草には有効なアレンジとなりました。

本物の雑草も展示されています

そんななか、「何をしてもまずかった」のはドクダミ。ジェノベーゼパスタ、セビーチェ(ペルー料理のマリネ)にしましたが、特有の臭いが消えず、雑草慣れしたメンバーでさえ閉口したそうです。

雑草を食べる時の注意点

担当3人で考案したレシピは、1週間×3食=21食分(ボツになったメニューもあるそうです)。料理本のようなおしゃれパネルで紹介されています。

「スーパーで売っている野菜はやっぱり美味しい」と実感したそうですが、興味のある方には「食べられる雑草がわかっていれば、いざという時にも困りません。ぜひ試してみてほしいです」と呼びかけます。

わからない草を食べるのはNG

展示室の入口には「草食い人の心得」を掲示。「わからない草は食べない」「むやみに多食しない」など、雑草を食べる際の注意点を紹介しています。

展示室がある大温室「とちはなちゃんドーム」

「雑草たべてみた展」は9月1日(日)まで。埼玉県立熊谷農業高校の野菜昆虫部の生徒が制作した「雑草標本」の展示などもあります。

ぜひ、永島さんたちが作り上げた渾身のレシピを見に来てください!

せっかくならコケ展も

企画展が開催されているのは、大温室の「とちはなちゃんドーム」です。ドームの入館料は大人400円(3~5月は500円)、こども110円。公共施設ということもあって、とてもリーズナブルです。

しかも、この入館料で「雑草たべてみた展」だけでなく、熱帯・亜熱帯の珍しい花、植物、果実などを展示する鑑賞大温室、もうひとつの企画展「コケと植物展 コケと植物調査隊」(7月7日まで)も見ることができます。

「コケと植物展」は探検気分を味わいながら、予備知識がなくても楽しめる内容になっています。こちらも注目です!

雑草たべてみた展
期日:6月8日(土)~9月1日(日)
時間:9:30~16:30(最終入館16:00)
休館:月曜日
会場:とちぎ花センター(栃木県栃木市岩舟町下津原1612)
詳細:とちぎ花センターホームページ

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