2024年5月に栃木県足利市助戸2丁目にオープンした「まほうのだがしや かか」は、50種類ほどの駄菓子に、くじ引き、ラムネ(130円)、大人向けにコーヒー、紅茶(400円)が揃っています。市内で有機栽培をされている生産者さんとつながり、10月中旬からは、弁当と惣菜のテイクアウトも展開していくそうです。
「よく笑う人」という意味もある「かか」。育ての母、という言葉が存在するように、店に来る子どもたちにとって、もう1人のお母さんがいるみたいなぬくもりを感じられ、安心して子育てできる地域にしたいという思いを込めて名付けられています。
店には「ただいま!」と言って入ってきてくれる子や、お菓子だけ買って帰る子、小上がりでゆっくり過ごしていく子などさまざま。
店主の岩﨑彩乃さんは「ゆっくり過ごしてくれることと、再来店してくれていることが何よりありがたい。徐々に自分の居場所のひとつと捉えてくれているように感じています」と話します。
オープンのきっかけは、彩乃さんが奈良県生駒市にある「まほうのだがしや チロル堂」の取組みを知ったこと。
自身が子育てを経験して感じた課題と地域の課題、どちらも解決までいかなくとも、より良くしたい、と勉強会に参加していく中で「地域で子育てをする」という想いに共感し、さらにその文化を遺していきたい、という考えを持ちました。
「私が子どもの頃は、駄菓子屋のおじちゃん、おばちゃんに関わってもらいながら育ってきました。今より不便で狭い社会の中で、心健やかに逞しくいられたのは人との関わりのおかげだと感じています」と彩乃さん。
さまざまな事が簡素化されつつある現代ですが、人間関係や子育ての環境を簡素化することは本来できない、と考えているそうです。
時代の変化によって家族以外の人と関わる環境が減ってきたからこそ、良いものは時代に合わせながら遺したい、と駄菓子屋「かか」はオープンしました。
地域の子どもの居場所となるため、学校に行かない選択をした子どもたちが気軽に遊びに来られるような仕組みを模索しています。
綾乃さんは「子どもの不登校の問題は子どもたちにあるのではなくて、大人側の問題として捉えています。子どもと共に成長していく場として地域に拓いていきたい」と展望を語っていました。