ワイン醸造を手掛ける「SAKAIMACHI FARM&WINERY」=境町 グルメ
ワイン醸造を手掛ける「SAKAIMACHI FARM&WINERY」=境町

茨城県境町にある隈研吾さん設計の建築物、1日で全て訪ねてみた(下) 町産ワイン求め東奔西走、さしま茶と再会



前回に続き、茨城県境町に7カ所ある、世界的建築家の隈研吾さんが設計した建物を巡る小さな旅です。

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「S-Gallery 粛粲寶美術館」では企画展「くまさんぽ 隈研吾建築と境町」開催中

午後1時半を過ぎたので、「HOSHIIMONO 100 Café」から「S-Gallery 粛粲寶しゅくさんぽう美術館」に移動します。道を渡れば到着です。入館して受付で入場料を払います。建物の外観から想像した以上に広々とした館内は、ゆっくりと展示物を鑑賞できるように、さまざまな配慮がされていると感じました。

4カ所目「S-Gallery 粛粲寶美術館」=境町(境町提供)

4カ所目「S-Gallery 粛粲寶美術館」=境町(境町提供)

2020(令和2)年に開館した真新しい美術館で、粛粲寶の素朴で力強い作品の数々を目の当たりにし、心が洗われた気がしました。

取材当日の企画展の詳細は、「DKC2024」さんに以前紹介していただいたので、そちらもぜひお読みください。

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現在は企画展「くまさんぽ 隈研吾建築と境町」が9月23日まで開催されています。さきほど訪れた「さかいサンド」(2018年オープン)を皮切りに、町内7カ所に建っている隈研吾さんの建物に加え、筑西市の「廣澤美術館」も含めた、隈研吾さん設計の建物の模型などが紹介されてています。

企画展「くまさんぽ 隈研吾建築と境町」チラシ(境町提供)

企画展「くまさんぽ 隈研吾建築と境町」チラシ(境町提供)

美術館の隣はワインのゆりかご

「S-Gallery 粛粲寶美術館」には「SAKAIMACHI FARM&WINERY」が隣接しています。2021年にオープンした、隈研吾さん設計の醸造所。境町で醸造されているワインのふるさとです。

「ワインをもっと気軽に、もっと日常に」という思いが込められています。「ZERO to ONE」のロゴで統一されたボトルはとてもスタイリッシュ。境町出身の女性ソムリエ・光山久美子さんが、醸造責任者を務めています。細長い外観の建物は、中央に大きなガラス窓があり、中の作業を見ることができます。

5か所目「SAKAIMACHI FARM&WINERY」。隈研吾さんらしい大きな木のひさしが建物にアクセントを与えています=境町

5カ所目「SAKAIMACHI FARM&WINERY」。大きな木のひさしがアクセントを与える、隈研吾さんらしい建物です=境町

以前、ここで醸造されたワインを味わう機会があったのですが、甘みを抑えつつ果実味が残っており、食事中に飲んでも食べ物の味を邪魔することがなく、筆者の飲酒スタイルにとても合っていました。「SAKAIMACHI FARM&WINERY」では購入できなかったので、急いでもと来た道を引き返し、「茶蔵」に戻ります。1階の「SHED」では軽食やグッズだけでなく、「ZERO to ONE」のワインも販売されているので、前回とは別の赤ワインを購入しました。

今回「茶蔵」で購入した境町で醸造されたワイン「リバーポート メルロー 2022」。裏のラベルには、繊細な日本食に合うと書かれていました=境町

今回「茶蔵」で購入した境町で醸造されたワイン「リバーポート メルロー 2022」。裏のラベルには、繊細な日本食に合うと書かれていました=境町

アルゼンチンと境町の意外な関係

さあ、残り2か所です。次の目的地である「モンテネグロ会館」は、現在位置である道の駅さかいから2キロほど。歩けなくもないですが、外は相変わらずの灼熱しゃくねつ地獄、無理せず車で移動することにしました。カーナビの指示に従い、10分ほどで「モンテネグロ会館」に到着です。

6か所目「モンテネグロ会館」。以前の建物の部材も一部で使用されています=境町

6カ所目「モンテネグロ会館」。以前の建物の部材も一部で使用されています=境町

「モンテネグロ会館」の歴史は古く、地域の青年研修所として、1937(昭和12)年に、当時のアルゼンチン共和国モンテネグロ臨時代理公使の援助により建築されました。その後、地域の青年研修所として活用されてきました。

日本とアルゼンチンの外交樹立120周年を迎えた2018(平成30)年に、アラン・ベロー駐日大使(当時)が来館し、両国の友好の証として残してほしいと要望、隈研吾さんの設計で改築されました。境町が東京オリンピック・パラリンピックの同国選手団ホストタウンだった関係もあったそうです。

モダンで機能性に富んだデザインが特徴の建物は、最初に建築された当時の部材が一部再活用されているそうです。

境町とアルゼンチンの交流が刻まれた、「モンテネグロ会館」前の記念碑=境町

境町とアルゼンチンの交流が刻まれた、「モンテネグロ会館」前の記念碑=境町

現在は、館内で地元特産のさしま茶を楽しむことができる「茶 cafe & shop chabaco」が営業しています。ただし、8月から9月中旬まで店舗リニューアルのため休業となっていますので、ご注意ください。

店内には、さまざまに加工されたさしま茶が並んでいました。以前、さしま茶の生産農家を取材して以降、すっかりさしま茶のファンになってしまった筆者。再会できて心躍ります。特に「和紅茶」が気に入っているので、店員さんおすすめの「のびのび和紅茶アールグレイ」を迷わず購入したほか、「ルイボス・バーブブレンド」もゲットしました。

今回「茶 cafe & shop chabaco」で購入した「のびのび和紅茶アールグレイ」と「ルイボス・バーブブレンド」=境町

今回「茶 cafe & shop chabaco」で購入した「のびのび和紅茶アールグレイ」と「ルイボス・バーブブレンド」=境町

最新の建物はウナギ加工施設

最後は、今年1月にオープンしたばかりの「S-Lab4th(エスラボフォース)」です。まだカーナビにもグーグルマップにも記載がありません。「モンテネグロ会館」の店員さんに教えてもらった道を、おっかなびっくり車で進みます。角を曲がると、真新しい建物が見えてほっとしました。

7か所目「S-Lab4th」。ウナギ加工施設として今年1月にオープン=境町

7カ所目「S-Lab4th」。ウナギ加工施設として今年1月にオープン=境町

これまで見てきたものより、ひと際大きなこの建物は、ウナギ加工施設として建設されました。宮崎県宮崎市の「大森淡水」が提供するかば焼きの冷凍品を仕上げ加工し、1日最大5千匹に対応できるそうです。

建物外壁の一部に設置された木製のひさしが、ウナギのうねりを思わせる曲線になっており、隈研吾さん「らしさ」を感じさせます。

ようやく隈研吾さん設計の建物全7カ所をコンプリートしました。時計を見ると午後3時前。途中、干し芋スイーツを堪能したり、「S-Gallery粛粲寶美術館」をじっくり見学したり、ワインを買ったりで、意外に時間がかかってしまいました。

決まった目的もなく、土地勘のない町を巡るのも良いですが、今回「隈研吾さん設計の建物を全部巡る」という目的で町歩きするのも非常に楽しい経験になりました。

S-Gallery 粛粲寶美術館
住所:茨城県猿島郡境町坂花町1455ー1
電話番号:0280-23-4148
開館時間:午前10時~正午(最終入館は午前11時半)
午後1時15分~午後5時(最終入館は午後4時半)
入館料:330円(18歳未満無料)※その他割引は企画展ごとにお問い合わせください
休館日:月曜日・火曜日(祝日の場合は開館、翌日は振替休館)
ホームページ:https://www.town.ibaraki-sakai.lg.jp/page/page003290.html
茶cafe&shop chabaco
住所:茨城県猿島郡境町上小橋446番-4(モンテネグロ会館)
電話:050-3138-2885
営業時間:午前10時~午後4時
定休日:毎週日曜、月曜(月曜が休日の場合も休み)
※7月末~休業中 9月中旬にリニューアルオープン予定
ホームページ:https://www.naganoen.com/shop


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