8月も間もなく終わり、少しずつ秋の気配を感じるようになりました。これから食欲の秋。おいしい食べ物が登場する季節です。今回は秋のおいしい味覚を紹介します。
茨城県桜川市に「幻のブドウ」を作っている農園があります。県道151号(荻島真壁線)沿いある「弓削ぶどう園」です。
作業場を兼ねた店舗には収穫されたばかりのブドウが袋に包まれ販売されています。
茨城でここだけ、幻の3種類
「幻のブドウ」はオリンピアといいます。50年前、巨峰と巨鯨の交配により生まれ、1964年の東京五輪開催にちなんで名付けられました。
病気にかかりやすく栽培が難しいためやめる農家も多く、ゆえに「幻」と呼ばれています。
「オリンピアには3種類あります。40年前、父がオリンピアを作り始め、3種類全てを作っているのは茨城県ではうちだけです」と、ご主人の弓削和弘さんは胸を張ります。
さっそくオリンピアを試食させていただきました。びっくりするほどの甘さです。糖度は20度を超えているそうです。一般的なブドウは糖度15度前後とされ、20度というのは熟したメロンや桃と同等。まるで蜂蜜をなめているかのようです。
さらにブラックオリンピアは濃厚な甘さの中に程よい酸味がありました。ホワイトオリンピアは香りがよく上品な甘み。おいしさに取材を忘れ食べ続けてしまいました。
熱い思い、3代でつなぐ
園内も見学させていただきました。オリンピアがたわわに実っています。
奥さんの百代さんと息子の和也さんが一房ずつ状態を確かめていました。
3代目の和也さんが優しい眼差しでブドウを触りながら、「土づくり、剪定(せんてい)、袋掛けと、いろいろ手間はかかりますが、祖父、父と守ってきたブドウ園。自分も皆さんに喜ばれるブドウを作っていきたい」と、抱負を話してくれました。
ビニールハウスでは、収穫を待つばかりのシャインマスカットがたくさん実っていました。
秋の始まりとともにブドウは最盛期を迎えます。茨城県ではここだけ。3種類のオリンピアを味わってみてはいかがでしょうか。
「とりぷれ」のライターになって半年が過ぎました。今回の「弓削ぶどう園」のように、地域には生業を守りながら頑張る人たちがたくさんいることに改めて気付きました。このような人たちに出会うたびに「とりぷれ」エリアの魅力を再認識します。
記事を書いて応援できることに喜びを感じながら、これからどのような人たちに出会えるか楽しみにしています。
所在地:茨城県桜川市高久611
電話:0296-58-6024
営業時間:午前9時~午後6時(10月中旬まで。なくなり次第終了)