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「古里もっと好きに」 館林市で野外上映会「SORANOMONシアター」を運営する石川京子さん 活動への思いを聞きました



大きなスクリーンで映画を見て、笑ったり、時には涙が出たり。家族や友達と同じ時間を過ごせたら、きっと大切な思い出になりますよね。

そんな体験を群馬県館林市で、野外上映会という形で提供しているのが、市民らでつくる「SORANOMONシアター」の実行委員会です。

「住んでいるまちを、私たち自身が楽しくできたら、古里をもっと魅力的にできる」。そう話す実行委員長の石川京子さん(館林市)にお話を聞きました。

親子で安心して見られる

SORANOMONシアターは年数回開かれる野外上映会です。上映するのは大人から子どもまで楽しめる作品で、特に群馬県内の市町村が舞台となって制作された「まち映画」や、子育て世代を応援する作品を選んでいます。

実行委員会を立ち上げるきっかけになった中心街の鷹匠町長屋門のほか、カフェなどさまざまな場所で上映しています。

長屋門をくぐると空き地が広がっていますが、かつては映画館があったそうです。「ソラノモン」という素敵な名前は「もう一度その空の下で映画を見る場所をつくりたい」という思いから名付けたそうです。

長屋門で開かれた野外上映会(石川さん提供)

館林市にはかつて複数の映画館がありましたが、90年代までにいずれも閉館。いま劇場で映画を見るには、佐野市や太田市へ行く必要があります。

「映画を見られる場所を、館林にもつくりたい」

石川さんが2018年に参加したリノベーションスクールで、公共スペースを活用した映画上映会のアイデアが生まれ、有志で実行委員会を立ち上げました。

野外上映なら、子どもたちが多少騒いで、動き回っても大丈夫。気兼ねせず、親子で参加してもらいやすいという思いがあったそうです。

コロナ乗り越え

SORANOMONシアターのロゴが入ったTシャツ姿の石川京子さん(石川さん提供)

活動開始からすぐにコロナ禍が始まり、リアルイベントを開くことが難しくなりました。車から観賞する「ドライブインシアター」を開いたり、お客さんの間隔を空けて密を避ける工夫をしたり。上映会当日に雨で中止、という不運に見舞われたこともあったそうです。

当初は上映機材をレンタルしていましたが、クラウドファンディングで支援を募り、今は自前のスクリーンで開いています。

「野外上映の魅力は、上映中に風を感じたり、鳥の声が聞こえたりする空気感や、一緒に見る人との一体感です」と石川さん。これから活動をさらに充実させたい考えで、現在は館林市内で5月に開く上映会に向け、準備を進めています。

【上映した作品の例】
2019年12月 太田・大泉まち映画「グラス☆ホッパー」
2020年10月 大泉まち映画「サンゴーヨン☆サッカー」
2021年4月 ドキュメンタリー映画「ママをやめてもいいですか!?」
2021年11月 桐生まち映画「祭りのあと、記憶のさき」
2022年9月 安中まち映画「ライズ&シャトル」
2023年2月 ドキュメンタリー映画「こどもかいぎ」

古里を「面白くする側」へ

石川さんは生まれも育ちも館林市。大学進学から結婚後しばらくは神奈川県に住んでいましたが、子育て環境を考え、15年ほど前にUターンしました。

久しぶりに戻った古里で、友人と子どもの手遊びサークルを立ち上げたのが、地域活動の原点です。

以前は館林について「面白くないまち」と感じていたそう。それが地域活動に携わる中で、「自分たちが面白くする側になればいい」という思いに変わっていきました。

子育てを通じた交流は、ママたちを中心にワークショップやハンドメード作品のマルシェをする「コミクル」に発展しました。開催頻度は減ったものの、現在も多くの出展者が集まる「コミクルフェスタ」を年1回開いています。

立体パズルの普及も

現在、石川さんが取り組んでいるもう一つの活動が、色をそろえる六面体パズルで交流する「館林キューブサークル」です。

六面体パズルと言えば、1980年代に流行した「ルービックキューブ」が有名。色をそろえるまでのタイムを競ったり、脳トレや趣味として愛好したりする人がいて、根強い人気があります。

石川さんが関わるようになったのは、今年高校に進学する息子さんが小学5年の頃、興味を持ってパズルを始めたのがきっかけでした。

予想上回る反響

ただ、熱心に練習しても、大会などのイベントは東京で開かれることが多く、定員もすぐにいっぱいになってしまって地方からの参加が難しかったそうです。

「参加が難しいなら、自分でやってみては」。相談した大会関係者からの助言をきっかけに、館林キューブサークルを立ち上げました。

昨年7月の記録会は多くの参加者で盛況だった(石川さん提供)

昨年4月に初めて交流会を開くと、予想を上回る20人以上が参加し、栃木や埼玉など、隣県からの参加者もいたそうです。7月には初めて記録会も開催しました。

石川さんは「競技としてだけでなく、幅広い世代に趣味としても楽しんでもらえる。今後も活動を充実させていきたい」と話しています。

いしかわ・きょうこ SORANOMONシアター実行委員長、館林キューブサークル代表。農薬不使用のレモンと小麦の栽培にも取り組む。中1、中3の息子2人を育てている。館林市在住

【SORANOMONシアター実行委員会】
インスタグラム soranomon_theater

【館林キューブサークル】
インスタグラム tatebayashicube

【果樹園LimoneLimone】
インスタグラム today_happy.smile

映画、パズル、子育てサークル。ジャンルは違っても、まずやってみよう、という思いは同じ。石川さんのその行動力が、館林の魅力づくりにつながっていると感じました。

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