日本国内で開催される花火大会は年間7千を超えると言われており、その多くが8月に集中します。コロナ禍が下火になった後は、各地域で花火需要が一変し、シーズンは夏から秋まで続くようになりました。煙火(花火)業者のスケジュールは、毎週のように花火大会の予定で埋まっているようです。
そうした中、業界に輝かしい業績を残す野村花火工業(茨城県水戸市)、山﨑煙火製造所(同県つくば市)、紅屋青木煙火店(長野県長野市)、マルゴー(山梨県市川三郷町)の4社が茨城県境町で競演する「第37回利根川大花火大会」は、有料観覧席の発売とほぼ同時に完売になるほどの人気です。
大会を目前にして、境町観光協会の萩原扶美さんに、大会運営やプログラムの見どころ、来場者へのアドバイスなどを伺いました。萩原さんは2019年、まちおこし協力隊員として東京都葛飾区から境町に移住し、町観光協会事務局の職員として情報発信など活性化に取り組んでいます。
熱い思いと支援
萩原さんは開口一番、「2022年から3年連続で3万発を打ち上げることに注目していただきたい」と胸を張ります。
原材料の火薬をはじめ玉皮など部品の価格高騰に加え、観覧席設置・会場警備の費用確保の困難さなどから、規模を縮小または中止となった花火大会があるなど厳しい経済情勢にあって、境町は協賛者の熱い思いと多大な支援を糧に、大会を継続しています。
さかいふるさと祭りが起源
「利根川花火大会」は、7月の祇園祭礼に併せて1986年に催した「さかいふるさと祭り」が起源になります。打ち上げ総数3千発の小さな花火大会は、町民や観光客の期待に応えるべく倍々に規模を拡大し、現在は3万発と、日本トップクラスの打ち上げ数を誇るようになりました。
商工会青年部やOB、農業団体、消防団などを中心に、当日は100人以上のボランティアが会場運営に携わるなど、来場者の皆さんをお迎えしおもてなしします。
音楽プロデューサーに今井了介さん
大会では、全ての花火、全プログラムに音楽が付きます。通常は花火師が選曲して30分の1秒単位で打ち上げのタイミングをコンピューターでプログラミングしますが、今大会は安室奈美恵さんの「Hero」の作曲で知られる今井了介さんを音楽プロデューサーに迎え、尺玉の競演やスーパースターマインなどの全てを選曲、各煙火業者はそれに合わせて打ち上げプログラムを組み立てています。
萩原さんによれば、「花火ファンには4社の新たな挑戦を堪能してほしい。曲名は当日まで秘密です」とのことですが、ヒントを頂きました。ジャンルはクラシック、J-POP、K-POP、洋楽。そしてエンディングは今井さんの代表曲になるようです。
ドローンショーも
ドローンの製作やパイロット育成会社の進出など「ドローンタウンさかい」を掲げる境町は今大会、大手運営会社レッドクリフとのコラボレーションで、600機のドローンショーを開催します。色とりどりのLEDを搭載した多数のドローンが空中に文字や形を描くエンターテインメントを楽しむことができます。
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開催日時:9月14日(土)午後6時~(荒天順延)
開催場所:茨城県境町利根川河川敷
問い合わせ:境町観光協会(0280-81-1319)
公式ホームページ:https://www.sakai-hanabi.com/