今年で開創300年、宗派を超え12年に一度、巳年に行われる「猿島阪東観音開帳」札所巡りの続きになります。
善福院~妙法寺~般若院
この日、午後は第五番・善福院(茨城県境町横塚)からスタートしました。

「奉開扉」の額が掲げられた善福院=境町横塚
観音様に合掌し、ちょっと離れた所で十句観音経を3回、般若心経を1回、小さな声で唱えます。これが札所巡りのマイルールです。離れた所で唱えるのは、気恥ずかしいからです。

善福院の観音像=境町横塚
続いて第六番・妙法寺(境町稲尾)へ。ここは神社に隣接しており、神仏混交の名残りが感じられます。石に彫られた観音様は集落センターに安置され、やさしくほほ笑んでおられます。

妙法寺(集落センター)=境町稲尾

妙法寺の観音像=境町稲尾
次は第七番・般若院(境町志鳥)。ここの観音様は両手がなく、「手がいらぬ」ということにあやかって安産の守り本尊「手なし観音」と称されているということです。

般若院の観音堂=境町志鳥
朱印をいただき車に向かおうとすると、観音堂にいた男性から「好きなものを一つ持っていって」と声をかけられました。見ると、長ネギ、ブロッコリー、レタスが置いてあります。
迷った末に、ありがたく長ネギを頂戴し、帰宅後に鍋に入れていただきました。観音様の慈悲がたっぷり詰まったような、滋味あふれる味でした。

「お接待」の野菜。ありがたく頂戴しました=境町志鳥
般若院で境町の札所は終わりになります。これから古河市の札所巡りになります。
遍照寺~久昌院~仲山観世音
古河市の一カ所目は谷貝にある第十番・遍照寺です。広い本堂の前に立つと、檀家の方からどうぞお上がりになってと声をかけられます。観音様やほかの仏像を間近からじっくり拝観していると、住職が丁寧に説明してくれます。

遍照寺の観音像。間近から拝観できました=古河市谷貝

遍照寺の本堂=古河市谷貝
住職によりますと、3月26日現在で、歩いて巡礼している人が5人いて、そのうち1人は夜行バスで大阪から来た若い女性だったということです。筆者はまだまだ修行が足りません。
続いて第九番・久昌院(古河市山田)を訪問します。本堂に向かって手前左に見事なシダレザクラがあります。お参りした後、テントの下でお茶をいただきました。スギ花粉アレルギーでイガイガしていたのどが潤いました。

久昌院の本堂。左手前にシダレザクラ=古河市山田

久昌院の観音堂=古河市山田
古河市の札所のラストを飾るのは、第八番・仲山観世音(東漸寺)です。普段は無人の観音堂が開帳されていて、檀家の方々はプレハブの建物に詰めて対応しています。本尊の観音様のほかに、たくさんの観音像が拝観できます。
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仲山観世音(東漸寺)=古河市仁連

仲山観世音の観音像=古河市仁連

猿島阪東観音開帳のパンフレットより般若院、仲山観世音(東漸寺)、久昌院、遍照寺の説明(万蔵院提供)
「お接待」に感謝、感激
札所巡りはまだまだ続き、残る二十三カ所は全て坂東市内になりますが、とりぷれエリアの紹介が終わったので、とりあえずここまで。
今回、驚いたのは、札所巡りをする人がこちらの予想以上に多かったこと。お坊さんをガイドに観光バスに乗って三泊四日の日程で回る人たちとも一緒になりました。その中の一人に「メジャーとは言えない霊場巡りをなぜ」と問うと、「それがいいのですよ」と笑顔で答えてくれました。

観光バスで猿島阪東観音開帳の三十八カ所を巡る善男善女=ヴァン同市神田山の第三十二番札所・延命院
さらに、観音堂などに交代で詰めている檀家・地元の方々が親切に接してくれること。茶や甘酒、菓子、あめ、さらには野菜までいただき、その温かな「お接待」に感謝、感激。札所巡りのモチベーションにもなりました。

「お接待」の緑茶=新八番・妙音寺=坂東市神田山
札所は坂東市、境町、古河市、千葉県野田市の限られたエリアにあるため、車なら最短2日で回ることができます。もちろん、寄り道しながらゆっくり巡拝するのもいいでしょう。
道中、札所への交差点や入り口に赤いのぼりが立てられていて、ナビがなくてもさほど迷うことはありません。

指定納経帳(右)と第十番・遍照寺(古河市谷貝)の朱印(左)、御詠歌
こうした機会がないと一生参詣することのないかもしれない、地方の小さな寺院を訪れて、地元の方々と触れ合いながら観音様と縁を結んでみてはいかがでしょうか。

猿島阪東観音開帳のパンフレットより札所紹介(万蔵院提供)

猿島阪東観音開帳のパンフレットより札所マップ(万蔵院提供)
札所巡りは面白い 開創300年、12年に一度の「猿島阪東観音開帳」〈上〉はこちら
開帳期間:2025年4月17日(木)まで
開帳時間:午前8時半~午後5時
問い合わせ:札所会事務局(万蔵院)(電)0280-88-0737(平日午前8時半~午後5時)
ホームページ:https://sashima-bando.jp/