広大な空間に歴史的な機体が並ぶユメノバの「科博廣澤航空博物館」 地域別
広大な空間に歴史的な機体が並ぶユメノバの「科博廣澤航空博物館」

筑西市の「ザ・ヒロサワ・シティ」は、何度来ても新たな発見がある、進化し続けるテーマーパークでした ②《科博廣澤航空博物館編》



茨城県筑西市内、およそ100万平方メートルの広大な敷地に広がる「ザ・ヒロサワ・シティ」は、総合企業グループ「広沢グループ」が運営しており、廣澤美術館、テーマパーク「ユメノバ」、下館ゴルフ倶楽部、宿泊施設など多くの施設があります。2回目はテーマパーク「ユメノバ」に2月11日にオープンしたばかりの「科博廣澤航空博物館」を中心に、航空機に関する展示を紹介します!

①レールパーク編の記事を読む

前回紹介したレールパークの隣の巨大な建物が「科博廣澤航空博物館」です。東京・上野の国立科学博物館で展示されていた機体を含め、歴史的に貴重な航空機が収蔵されています。いずれもヒコーキ好きにはたまらない展示ばかりで、心臓がバクバクしそうになります。

「科博廣澤航空博物館編」の巨大な外観=筑西市

「科博廣澤航空博物館編」の巨大な外観=筑西市

「ユメノバ」の零戦はレア機体!

まず第二次世界大戦で活躍した日本海軍の名機、零戦れいせんが目に入ります。正式名称は零式れいしき艦上戦闘機。1939(昭和14)年に初飛行し、終戦まで1万機以上が生産されました。3000kmの航続距離を誇り、翼内に20ミリ機銃2門、機首に7.7ミリ機銃2門の重武装を装備、格闘戦を重視した高い運動性能、徹底的に軽量化を追求した機体と、1000馬力級の「栄」エンジンが搭載され、当時としては世界最高水準の性能でした。

非常に珍しい複座型の零戦二一型。操縦席後部のアンテナが撤去されています=筑西市

非常に珍しい複座型の零戦二一型。操縦席後部のアンテナが撤去されています=筑西市

展示されている機体は、零戦二一型。通常、零戦は1人乗りですが、この機体は激戦地だったラバウルの基地で偵察用に改造されたと考えられている、2人乗りです。1945(昭和20)年1月9日に、ラバウル北西のニューブリテン島ランバート岬沖約250メートル地点で撃墜され、水深約8メートルの海底に沈んでいましたが、1972(昭和47)年に引き揚げられ、復元された後に国立科学博物館へ寄贈されました。筆者も子どものころに見学した記憶があります。国立科学博物館ではエンジンカバーが外された状態で展示されていましたが、ここではエンジンカバーが付いた状態になっています。

戦後初の国産旅客機

館内でひときわ目立っているのが、第二次世界大戦後に初めて日本のメーカー「日本航空機製造」が開発した旅客機「YS-11」です。展示されているのは、1965年(昭和40年)3月30日に量産1号機として運輸省航空局に納入され、「ちよだⅡ」と命名された機体です。2007(平成19)年8月には新幹線0系電車などと共に機械遺産(13番)に認定されました。

展示されている「YS-11」。独特のエンジン形状が素敵です。「YS-11」で使用されていた座席もあります=筑西市

展示されている「YS-11」。独特のエンジン形状が素敵です。「YS-11」で使用されていた座席もあります=筑西市

YS-11は双発のプロペラ機です。機体は全長26.3メートル、全幅32メートル、全高8.98メートルで、最大巡航速度は時速480キロメートル、乗員2名と56~64名の乗客を運ぶことができました。182機が製造され、日本国内だけでなく、海外の航空会社でも運用されました。

ライバルメーカーの台頭などもあり、販売に苦戦、1973(昭和47)年度末に生産終了となりました。2006年(平成18年)9月30日、国内の民間定期路線からは引退しましたが、現在でも航空自衛隊で6機が電子情報収集機や電子戦訓練機として運用されています。

YS-11の設計段階では、第二次世界大戦で日本の航空技術を発展させた多くの技術者が参加しています。零戦の設計で知られる堀越二郎氏(群馬県藤岡市生まれ)もその一人です。宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」の主人公でもあります。堀越氏の関わった機体が並ぶ様を見て、胸が熱くなりました。

タロ、ジロ救ったヘリコプター

鮮やかなオレンジ色の塗装で目を引くヘリコプターが、「シコルスキーS-58」です。展示されているのは、第3~6次の南極観測隊で南極観測船「宗谷」に搭載された、海上保安庁の機体です。宗谷と昭和基地との間のピストン輸送で大活躍し、越冬観測を支えるとともに、世界に先駆け極地探検でのヘリコプターの実用性を証明した、歴史的な機体です。

オレンジ色の機体に引かれた白線が眩しいシコルスキーS-58=筑西市

オレンジ色の機体に引かれた白線が眩しいシコルスキーS-58=筑西市

1956(昭和31)年11月に日本を出発した第一次南極観測隊は、11人と19頭の樺太犬が第1次越冬隊として南極の昭和基地で活動しました。しかし翌年の第二次南極観測隊は、悪天候に阻まれて昭和基地に到達できず、越冬隊員と南極で生まれた子犬と母犬9頭のみを収容し、やむなく帰国します。

1959(昭和34)年、第3次越冬隊のシコルスキーS-58が昭和基地上空を飛行すると、2頭の樺太犬が生存していました。これが後に「南極物語」として映画やドラマになった、有名な「タロ」「ジロ」の奇跡の生存の物語です。展示されている機体は、「タロ」「ジロ」を救出した機体でもあります。

シコルスキーS-58の脇に展示されているタロ、ジロの石像。茨城県産の真壁石で作られています=筑西市

シコルスキーS-58の脇に展示されているタロ、ジロの石像。茨城県産の真壁石で作られています=筑西市

数多くの貴重な展示

「科博廣澤航空博物館」にはほかにも、戦後初めて民間飛行したグライダー「電建号」や、ビジネスジェット機「ガルフストリームⅡ」の操縦席など、多くの展示があります。

また、隣接する「グライダー・模型飛行機館」には、2機のグライダーのほか、個人が製作した木製の飛行機模型205機、プラモデル289機が展示されています。特に木製の模型は戦前、戦中の機体を中心に、平均1カ月、最長3カ月もかけて製作されたもので、非常に精密に作られていました。これが木製とは信じられませんでした。

「グライダー・模型飛行機館」に展示された木製の飛行機模型。すべて1/75の縮尺で作られています=筑西市

「グライダー・模型飛行機館」に展示された木製の飛行機模型。すべて1/75の縮尺で作られています=筑西市

飛行機好きなら、ここだけで1日過ごすこともできる、「ユメノバ」の航空機関連展示をご紹介しました。

③宇宙館、消防自動車博物館、クラシックカー博物館編を読む

テーマパーク「ユメノバ」
住所:茨城県筑西市徳持
(カーナビで検索する場合は「下館ゴルフ倶楽部」または「0296-20-1111」と入力)
電話:0296-48-7417
営業時間:午前10時~午後5時
休園日:月曜日(祝日の場合は火曜日)
入場料:大人2500円 高校生・大学生、1000円
中学生700円 小学生500円
10名を超える団体での利用の際は事前に連絡をお願いします
ホームページ:https://www.shimodate.jp/index.html

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