夏休みも残りわずかとなりました。子どものころ、宿題や絵日記、自由研究などに追われたことを思い出します。今回は子ども時代に返って「自由研究」にチャレンジしてみました。
受け継がれた味
「自由研究」のテーマは茨城県西部や栃木県、群馬県の一部で、お祭りの屋台でよく見かける「煮イカ」です。この地域に住んでいるとおなじみの食べ物ですが、よそではあまり見かけないということを最近知りました。
いろいろ調べてみると、この地域は海から離れているので昔は新鮮な魚介類を食べることが難しく、イカに関しても干したものを水で戻して食べていたということです。
今は新鮮なイカが手に入るので家庭で「煮イカ」を作ることはなかなかないようですが、お祭りの屋台などでその味が受け継がれてきました。
スルメイカを水で戻すと…
近所のスーパーでスルメイカを買ってきて「煮イカ」作りに挑戦です。以前取材した「山川不動尊縁日」(茨城県結城市)の屋台で作り方を教わりました。
まず、重曹を入れた水にカチカチのスルメイカを入れ一晩漬けます。
翌朝、ドキドキしながらスルメイカを見てみると…、何と何と、柔らかなイカに戻っています。生イカと言っても分からないくらいです。
今までさまざまな体験をしてきましたが、久しぶりにびっくりです。
イカの薄皮を取り除き、両側に切れ目を入れて、しょう油、みりん、色粉を入れた汁に、さらに半日ほど浸します。
そして食べる前に加熱して「煮イカ」完成です。
色鮮やかに煮上がったイカを切れ目ごとに割いて口に運んでみます。すると、弾力があって、元がスルメイカとはとても思えません。味もよく染みていてビールのつまみに合います。
貴重な食文化
カチカチのスルメイカが生イカのようになったのには驚きましたが、最初に「煮イカ」を考えた人は素晴らしいと思います。新鮮なイカを使わずにこんなにおいしいものを作り出したのですから。
「煮イカ」は昔の人が考えた「とりぷれ」エリアのソウルフード。信州にも「煮イカ」があるようですが、地域の貴重な食文化と言っても過言ではありません。
遊び心満載の「自由研究」は、新たな知識を得る貴重な体験となりました。
①1ℓの水に重曹大さじ1杯を入れてスルメイカを戻す(一晩)
②スルメイカをよく洗って表面の薄皮を取り、両ふちにハサミで切れ目を入れる
③鍋にしょう油180cc、みりん180cc、砂糖100g、色粉(赤)小さじ2杯を入れて煮立てる
④火を止めてそのまま半日ほどスルメイカを浸ける
⑤再び煮汁でスルメイカを煮て沸騰直前に火を止め完成