「新緑の筑波山に登ろう!」の続きです。
あずまやの「BENKEI HUT」を出ると間もなく奇岩怪石が続くようになり、表筑波登山の醍醐味が味わえます。
⛰連続する奇岩怪石

子どもからお年寄りまで登れるのが筑波山の魅力の一つです
有名な「弁慶七戻り」は、今にも落ちそうな岩に弁慶が恐れおののいて、七回戻ったという伝説のある石門です。巨大な岩が絶妙なバランスを保って、頭上に静止しています。

巨大な岩が今にも落下しそうな「弁慶七戻り」
パワースポットと言われる「高天原」、修験道の行場の一つ「母の胎内くぐり」を通り、2つの巨大な岩が寄り添うようにそびえ立つ「陰陽石」、出ていく船と入ってくる船が並んでいるように見える「出船入船」、大黒様が袋を背負っているように見える「裏面大黒」など奇岩怪石が次々と現れます。

狭い登山道を交互に通行する「高天原」

岩が船の出入りに見える「出船入船」

袋を担いだ大黒様の後ろ姿のように岩が見える「裏面大黒」
確かに、そう言われればそう見えなくもないというものが多いのですが、野暮なことは言わずに自然の産物を眺めます。
⛰大型連休中は登山道も山頂も…
ところが、「北斗岩」のあたりから登山道が混んできて、登るペースががくんと落ち、ついには止まってしまいました。

登山客の渋滞が顕著になってきた北斗岩周辺
程なく「この先、登山道渋滞ポイント」という立て看板が現れました。通常20分で行ける山頂下広場まで80分かかると表示されています。

登山道渋滞ポイント立て看板。女体山頂まで通常20分のところが80分かかるといいます。この日はそれ以上かかりました
どうやら、ゴールデンウイークの「表筑波」を甘く見ていたようです。
これまで「とりぷれ」で紹介してきたルートは桜川市の「裏筑波」からのものがほとんどで、登山の渋滞に巻き込まれることなど皆無でした。
ここからは、ちょっと登っては止まり、また登る、を繰り返します。山頂に近づくにつれて登山道は急こう配になり、道幅も狭くなるため、渋滞はひどくなります。

前の人に続いて岩場をゆっくり登っていきます
下山する人たちと交互に通行しなければならない所もあって、止まっている時間の方がはるかに長くなります。
この日の天気は午後から雨が降るという予報で、雲が増えて気温も下がってきました。渋滞中に降られたら最悪です。ストレスが溜まりますが、登山中であり斜面、岩場にいるので安全最優先。我慢です。
午後1時41分に大仏岩。そこからこう配がさらにきつくなり、屏風岩を過ぎて、この日3枚目の立て看板が出現。山頂までの目安は通常10分のところが30分。ようやく近づいてきました。
岩や石段を一つずつ慎重に、確実に登り、午後2時5分、遂に女体山頂下にたどり着きました。最初の立て看板では所要時間80分でしたが、実際には90分以上かかりました。通常だと20分ですから4.5倍です。
そして予想通り、山頂下は山頂で記念撮影したい人たちで大混雑。山頂まではもう目と鼻の先でありながら、人気テーマパークのような行列ができています。
山頂は先月の筑波連山縦走の時に立っているので今回は諦めることにしました。
申し訳ないので、昨年5月に登った時の写真をお見せします。この日はよく晴れて、山頂から素晴らしい眺めが広がりました。筆者は高所恐怖症のため、ロープが張ってある一番先まで行くことはできません。

日本百名山「筑波山」の女体山山頂(標高877メートル)
⛰予定を変更、柔軟に
渋滞と混雑により山頂を諦め、この後の山頂連絡路~御幸ヶ原~男体山頂という予定も変更し、女体山頂下からそのまま筑波高原キャンプ場に下ることにしました。柔軟な対応が求められるのは山登りに限ったことではありません。

女体山頂下の行き先案内板

筑波高原キャンプ場への下りはいつものようにすいすい行けました
こちらは渋滞など全くなく、数組の登山客とすれ違うだけで順調に下って、午後2時45分に無事ゴールしました。

筑波高原キャンプ場。キャンパーがテントやテープを張っています
距離6.8キロ、上り587メートル、所要時間5時間25分の一筆書き。「表筑波」登山道の大渋滞は計算外、予定より大幅に遅れましたが、茨城唯一の百名山の「裏」と「表」、「陰」と「陽」の変化・魅力を楽しむことができました。
これからしばらくは大型連休中のような大渋滞はないと思いますが、筑波山は登山コースがたくさんあるので、組み合わせればさらに楽しさが増え、渋滞を避けることも可能です。新緑の筑波山を満喫してください(筑波山登山コースはこちら)。

日帰り入浴可能な旅館「うり坊」(2025年4月19日撮影)
下山後は、桜川市真壁町桜井の旅館「見晴らしの丘 うり坊」で日帰り入浴させてもらいました。宿泊客がいる日なら1人500円で入浴可能ということです。真壁石で造った湯船で思い切り手脚を伸ばすことができます。問い合わせは(電)0296-45-8988。