桜川市内を南北に連なる筑波連山の、筑波山(標高877メートル)、加波山(709メートル)、足尾山(627.5メートル)は「常陸三山」と称され、茨城の山岳信仰の中心としてその名を歴史に刻んできました。
ファミリーや初心者も楽しめる、茨城県桜川市の低山ハイキングコース。小波来さんのリポート①御嶽山と雨引山②筑波山—に続く3本目は、筑波山の北側、加波山の南側にそびえる足尾山です。桜川市真壁町の皆さんに同行させていただきました。
ファミリー、初心者にお勧めということで、今回は麓から歩くのではなく、北筑波稜線林道(関東ふれあいの道)の路肩に車を止めて、そこから足尾山への登山道に入ります。このあたりは桜川市と石岡市の境界が入り組んでおり、足尾山も両市にまたがっています。
30分程度で頂上に到着するとはいえ、樹木や草に囲まれた登山道は結構勾配があって、楽勝というわけにはいきません。
15分ほど登ってやや息が上がってきたころに、ありがたいことに東屋が見えてきました。丸太の椅子に腰掛けて休憩します。
5分ほど休んでハイキングを再開します。するとまたすぐに北筑波稜線林道に出ました。登山道はこの林道をショートカットしています。道路が広くなっている所がここにもありました。こちらに車を止めて、さらに楽に足尾山頂を目指すこともできます。
さあ、改めて登山道に入り、ノンストップで山頂に向かいます。勾配はさらにきつくなります。ただし、山頂まであと15分程度ということなので、精神的には余裕があります。
視界が明るく開けて、山頂に到着しました。小さいながらも足尾神社の本殿(奥宮)が鎮座しています。青空が広がり、南側には美しくも雄大な筑波山。それを眺めながら、桜川市真壁町の皆さんと昼食をおいしくいただきました。
昼食後は、元来たルートを引き返してもいいのですが、今回は筑波山方面へのルートを進むことにしました。
石の階段を慎重に下りて、10分ほどで足尾神社拝殿(里宮)に到着しました。木陰があるのでここの境内で腹ごしらえしてもいいかもしれません。ただし、ごみは必ず持ち帰りましょう。
同神社に神職はおらず無人です。案内板などによると、第60代天皇の醍醐天皇(885~930年)が足の痛みに苦しんでいた時に、その夢枕に足尾山の神が立ちました。そこで天皇が遠く足尾山を遙拝したところ、たちまちに快癒しました。感激した天皇は紙に足形を印し、「日本最初足尾神社」の勅額を下賜しました。
以来、足(脚)の病気やけがの回復・予防などにご利益があると信仰されているそうです。おたき上げするものでしょうか、登山靴や義足などがたくさん納められていました。
足尾神社拝殿からさらに5分ほど下り、またも北筑波稜線林道に出ると、ハンググライダーやパラグライダーが見えてきました。このあたりはスカイスポーツのメッカ。離陸場が複数整備されています。茨城県内外から愛好家が集まり、風に乗って次々に飛び立っていきます。見上げれば、ハンググライダーが滑空し、パラグライダーが浮かんでいます。
高所恐怖症の筆者には絶対できません。県外から来たという男性に怖くないのか尋ねたら、「全然。飛んでしまえば500メートルも千メートルも変わらない」と笑っていました。
筑波山に向かって右側に桜川市、左側に石岡市の眺望が広がります。今回はここを最終目的地とし、車に戻ることにします。休憩を入れても往復3時間で十分行き来できるでしょう。
御嶽山から筑波山につながる長い縦走路の一部を「つまみ食い」しながら、肩ひじ張らず自分のペースで歩いてみてはいかがでしょうか。